円安と世界的なインフレは、原油や小麦といった商品価格の値上がりだけでなく、海外ブランド品への投資という新たな動きも生み出しているようだ。
巷(ちまた)では、入手困難な海外のブランド品である、ロレックスの「デイトナ」や、エルメス、ルイヴィトンの二次流通価格が高騰しており、二次価格相場が半年で倍以上に膨らんだ製品もあるという。
これらの海外ブランド品は正規のルートで購入することが非常に難しい。大きな値上がりが期待できるブランド品を入手しようとするのであれば、一定の上乗せ料金を支払った上で代理購入してもらうか、そのブランドの下位モデルを足繁(しげ)く購入して優良顧客になるいわゆる「マラソン」をしなければならない。
「マラソン」に励むブランドのファンがそこまでの熱意を注ぐのには理由がある。正規の販売店で人気のモデルを購入できれば、値上がりまで数年など待つ必要もなく直ちに“含み益”となるからだという。例えばロレックスの人気モデルであるデイトナ系の時計を入手するために、「マラソン」を指南するインフルエンサーやブログなども近年で増加している。
グーグルの検索ボリュームの推移を示す「GoogleTrends」によれば、このような海外ブランド投資の関心拡大が、コロナショック直後と2021年後半にかけて発生している様子がうかがえる。
まず、コロナショックが発生した20年の初めから3月にかけては、「デイトナ」「ルイヴィトン」「エルメス」といった3つのキーワードは、いずれも関心度が低下していた。しかし、そこから世界的な金融緩和で急激な円高が是正され株価が持ち直すと、これらの海外ブランドの関心も従来の75ポイントの最大値を天井としたより戻しが発生する展開となった。
ただし、20年の急激な戻りではレンジ内の動きに止まっていた。海外ブランド投資という意味での検索流入という側面はそこまで大きくなかったのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング