イーロン・マスク氏、なぜツイッターの筆頭株主に? 過去ツイートから分析(2/3 ページ)

» 2022年04月12日 17時03分 公開
[ITmedia]

アンケート実施前に保守系ニュースサイト運営者に接触

 マスク氏は前述の投票実施前、ある人物にも接触していたという。その人物とは保守系ニュースサイト「The Babylon Bee」運営元のセス・ディロンCEO。ディロンCEOが手掛ける同ニュースサイトの公式Twitterアカウントは3月21日に、ツイッターのルールに反したとして、アカウント停止の処分を受け、同日以降、新規の投稿ができないようになっている。

 ディロンCEOは4月5日、自身の公式Twitterアカウントで「マスク氏は、Twitterの言論の自由への取り組みについてフォロワーにアンケートを取る前に、われわれに連絡してきた。彼(マスク氏)は、私たちが実際に停止されたことを確認したかったのだ」と明らかにした。ディロンCEOとの電話の中では「Twitterを買う必要があるかもしれないとさえ考えていた」という。

 ディロンCEOとマスク氏の接触は今回が初めてではない。21年1月8日、国会議事堂襲撃などの暴力行為を煽動したとして、ツイッターはトランプ氏のアカウントを永久凍結すると発表。Facebookなど他の主要SNSもアカウントを凍結した上、米グーグルとアップルはトランプ支持者が代替サービスとして使用していたSNSアプリ「Parler」(パーラー)の自社アプリストアでの提供を停止した。さらに米アマゾンも同サービスへのサーバ提供を停止した。

 こうしたことを受け、The Babylon Beeは同月11日、トランプ大統領退陣に関する記事を配信。記事は「悪のファシスト独裁者が検閲を受けた」などとビッグテック企業による一連の“トランプ排除”を皮肉る内容だった。記事配信のツイートに対し、マスク氏は「事実上の言論の自由の支配者としての西海岸のハイテク企業に、多くの人が非常に不満を抱くことになるだろう」と投稿した。

 ただ、同ニュースサイトの内容を巡っては、賛否両論あり、米主要紙USAトゥデイ紙は「フェイクニュースサイト」と断じている

 こうした一連の投稿を見ると、マスク氏はSNS上の言論の自由に対し、強い問題意識を持っていると見られる。過去には「同じ機械、同じ検査、同じ看護師という条件で、今日、新型コロナを4回検査した。2回は陰性、2回は陽性だった。何か極めてインチキなことが起きている」と投稿。PCR検査などの検査方法に疑義を呈し、物議を醸すなど何かとTwitter上ではお騒がせなマスク氏だが、こうした“過激”ツイートは、言論の自由を重視するからこその投稿なのかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.