史上最大の値下げとする同社だが、どうしてこのような価格設定をすることができたのか。この背景には、焼肉の和民では「特急レーン」「タッチパネル」「配膳ロボット」「ウェイティング機器」を導入し、高い生産性を実現させたことがある。「原価が上がっても耐えられる事業構造になった」(渡邉会長兼社長)という。
売り上げを増やし、スタッフを減らすことによって利益をしっかり取りに行く方針を掲げている。だが、これには値下げによる「客数の増加が前提になっている」と説明した。
もう1つの理由は仕入れにある。1万8000頭を飼育している和牛生産会社カミチクグループと契約することによって、安定した仕入れを実現した。その一方で、ウクライナ情勢による物流網の混乱などでノルウェー産の鮭の仕入れが難しくなり、アラスカ産に切り替える対応をしている。
輸入という意味では、円安による原材料価格の高騰が叫ばれている。渡邉会長兼社長は「為替については1ドル130円までは経営に耐えられる設計になっているものの、140円になると厳しくなる」と話し、もう少し円安になっても経営はしていけると述べた。
今回の価格のリニューアルにより主力商品だった食べ放題、飲み放題コース、コースメニュー、セットメニューの販売は一部を除いて終了となる。
「食べ放題はかみむら牧場で、429円以下は焼肉の和民で、という業態でのすみ分けをしっかりすることにした。焼肉の和民はメニュー数を半分に減らし、従来の『居酒屋としても使える焼肉の店』から『焼肉店』にキッチリと転換した」と話し、かみむら牧場と焼肉の和民のビジネス的な位置付けを明確化させた。
「実際、429円以下にすると客単価は3300円から2500円と約25%下がる。その代わり、客数を従来の1.5倍にすれば元が取れる。最終的には(売り上げを)2倍にすることを目標にしていきたい」
現在、売上高は50〜60坪の店で1カ月1200万円であることから、今後は単純計算で月商2400万円を目指すことになる
店舗は新規出店が43店舗、撤退が23店舗で、グループ全体の店舗数は居酒屋業態からの転換店を含め合計451店舗となった。「現在、居酒屋から焼肉に業態変更をしており、かみむら牧場は9店、焼肉の和民が26店舗ある。これを26年までに合わせて200店舗にする。これは次の大きな課題だと思っている」と語った。
飲食業界の人手不足による人件費上昇については「アルバイトの募集は続けているものの、時給を上げて人を集めている状況であり、人件費は少々上昇することになる。一方で人材派遣会社とも提携することによって、他社よりもローコストで人を集めることができている。人手不足で店を閉めることはなく、会社としての人件費は22〜24%の間で収まるようにしている」と、現時点ではマネジメントできているという。
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