アキュラの撤退情報が中国のSNS「ウェイボ」でトレンド入りしたのは今年3月初旬のことだ。ディーラーが販売を中止し、メーカーの最終通知を待っているとの報道が拡散した。
アキュラは日本の自動車メーカーが設立した最初の高級車ブランドで、1986年に北米市場に投入された。06年に中国で輸入販売を始め、16年には広汽アキュラが設立され、現地生産を開始した(ホンダのニュースリリース)。
中国の自動車市場でドイツ車と日本車は高く評価されてきたが、高級車市場はBMW、メルセデス・ベンツ、アウディなどドイツ勢が強く、同セグメントの7〜8割のシェアを占めてきた。
アキュラは中国で拡大する高級車市場に食い込むことを目指したが、目算通りには行かなかった。販売台数のピークは現地生産を始めた翌17年の1万6348万台で、19年12月にテスラが上海でモデル3の生産を始めると空前のEVブームが起き、21年のアキュラの販売台数は同45%減の6554台に落ち込んだ。
中国業界団体の乗用車市場信息聯席会(CPCA)によると、21年の高級ブランド車(ベンツ、BMW、アウディ、キャデラック、ジャガー、ランドローバー、ボルボ、インフィニティ、アキュラ、テスラ)の販売台数は、同4.9%増の265万2000台だった。
BMWの販売台数は85万台と堅調だったが、日本勢はレクサスが前年比0.9%増の22万7000台、日産のインフィニティは同46%減の1万3500台にとどまり、苦戦している。
高級車の需要は増えているものの、増加分はテスラを筆頭としたEVに持って行かれており、アキュラ撤退の情報が拡散すると、中国メディアの多くが、EVの波に対応できず衰退を余儀なくされる日系メーカーの象徴だと捉えた。
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