アキュラ撤退の情報拡散から1カ月経った今月8日、広汽ホンダはアキュラの生産を年内で打ち切ることを正式に発表した。中国市場に今春投入を予定するEVブランド「e:N(イーエヌ)」に社内のリソースを集中することを理由に挙げている。
ホンダは21年10月に中国電動化戦略を発表。30年以降、中国で新たに投入する四輪車を全てハイブリッド車やEVなどの電動車とすることや、中国初のホンダブランドEVとなる「e:N」を、5年間で10車種発売することなどを打ち出した。
また、今月12日には今後10年で電動化・ソフトウェア領域に投資も含め約5兆円を投入し、30年までにグローバルで30機種のEVを展開し、EVの年間生産200万台に乗せる計画を発表した。
EVにアクセルを踏み込むホンダが、特に重点市場と位置づける中国で経営資源をEVに全振りするのは当然の判断だろう。
一方で、広汽ホンダはアキュラの生産を中止すると発表しただけで、中国撤退には言及していない。アキュラは現地生産を始める前は10年間輸入販売を行っており、来年以降はその体制に戻すと見られている。
日系メーカーがEVに出遅れているとはいえ、ホンダは中国市場でユーザー基盤を築いており、固定ファンに高級車ブランドの選択肢を示す意義はある。来年以降はニッチに徹し、中国市場でひっそりと存続する可能性が高い。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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