経費精算やインボイス受領のSaaSサービスを提供するBEARTAILが3月31日に社名、ブランド名を「TOKIUM」に変更した。その上で、4月19日には35億円の資金調達を発表。黒崎賢一社長は「請求書受領クラウド市場のリーダーになりたい」と意気込みを話した。
TOKIUMは、もともとクラウド経費精算に強みを持つ企業だ。顧客企業の従業員がレシートを撮影すると、TOKIUMの2000人のオペレータが5分以内にデータ化する。撮影済みのレシートは、専用ポストに捨てれば、回収して10年間倉庫で保管するというサービスを提供している。
データ化した領収書や請求書の枚数は1億5000万枚を超えた。顧客の無駄な時間をなくして「時を生む」という、創業時の志から、TOKIUM(ときうむ)という社名にリブランディングした。
転機が訪れたのはコロナ禍だ。ロックダウンやリモートワークにより、出張も会食もタクシーに乗ることもなくなった。それにより企業の経費精算自体が激減。TOKIUMでも危機に陥ったという。そんな中、顧客企業に「何かお手伝いできることはありませんか?」と電話している中で、訴えられたのが請求書(インボイス)処理だ。
リモートワークが普及する中、経理だけは日々届く請求書を受け取るために出社しなくてはいけない日々が続いていた。「そこから6カ月でTOKIUMインボイスを開発した。生の声から生まれた製品だ」と黒崎氏は言う。
顧客は請求書の送付先をTOKIUMに変更するだけで、TOKIUMが請求書を受領、開封、データ化し、原本の保管も行ってくれる。
同社全体の売り上げの8割は経費精算が占めるが、インボイスの伸びは著しい。すでに200社程度が導入しており、新規受注金額は前年同月比で4倍のペースで進ちょくしている。
新市場では、請求書受領サービスに留まらず、請求書情報を元に企業の支出を最適化する「支出管理クラウド」となることを目指す。黒崎氏は「請求書は、ソーシャルネットワークの企業版だ」と話し、企業がお金のやり取りを通じて結びつくさまに商機を見る。まさに、友だち申請の代わりに契約を結んで、その後、メッセージの代わりに請求書を送りあうという関係だ。
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