堀江: 実は僕はいろいろなオールドスペースの会社も訪問をしていて、先日もIHIに行ってきました。技術はすごくいいんですよ。あと彼らが持っているサプライチェーンがすごく貴重です。軍事の話をすると、ウクライナ戦争はまさに軍事と宇宙の関係を象徴している。
実は5年前にイーロン・マスクが、米国の議会で吠えているんですよ。どう吠えているかっていうと、確か国防総省の発注案件で米軍が何かの衛星を打ち上げるんですけど、それはオールドスペースの衛星で打ち上げていたんですね。アトラスっていう日本でいうところのH-IIA みたいなロケットがあって、こんなロケットで打ち上げるのはけしからんと。なぜならそのアトラスロケットの1段目に使われているメインエンジンはロシア製なんですね。
イーロン・マスクは、「何かが起こったときにどうするんだと」と議会で言っていました。
夏野: その通りになったね。
堀江: アトラスの一段目には、RD-180っていうロシア製のエンジンが本当に使われているんです。これはフェイクじゃなくて。それで、そのロシア製のエンジンの在庫が切れたら、もう衛星を飛ばせなくなくなるんですよ。そして恐らくですけど、アトラスの1段目は、これから打ち上げる計画がある分しか確保していないはずなんです。
夏野: そりゃそうだよな。
堀江: 全部リンクしていますからね。それで、なんでロシアがウクライナを攻めているかというと、歴史をはしょって言うと、もともとスラブ民族の最初の国ってキエフ公国じゃないですか。要はキーウって言うならばスラブ民族の京都みたいな街なんですよね。
だからあんなにこだわっているわけですけど、モスクワって言ったら東京なんですよ。沼地に作られた新しい街で、とても類似している。
それで、どっちかというとロシアのほうが“はぐれ者”で、これは宇宙技術もそうなんですよ。みんなウクライナからいっているんです。宇宙開発においてウクライナとロシアは不可分で、ロシアのミサイルもロケットもウクライナ製の部品がないと飛ばないし、ウクライナはロシアのロケットがないと飛ばないし……みたいな感じの関係に実はあるんです。
だから、彼らが西ヨーロッパの一部になることは多分耐えがたいんでしょうね。ソ連の伝説的なロケットのチーフエンジニアだったセリゲイ・コロリョフという人はウクライナ人なんです。だからウクライナってすごく重要な国なんです。
夏野: 思うんですけど、少なくとも宇宙開発においては、もう米国すらも宇宙ステーションそのものがロシアに依存する形になっている。
堀江: そうなんです。だけど米国人は、ついぞ最後までそのロケットエンジンに使われている耐熱合金を自分たちで作り出すことができなかったんですね。国内で作れなくてロシアに依存しているから、今のロシア依存体制になっているんです。
ホリエモンが明かす「民間ロケットとLinuxの共通点」 宇宙開発で今、切実に足りていない人材とは
ホリエモンが北海道で仕掛ける「宇宙ビジネス」の展望――くだらない用途に使われるようになれば“市場”は爆発する
宇宙ベンチャーISTが直面した組織における「50人の壁」 ロケット打ち上げ2回連続成功を支えたマネジメントとは?
ホリエモンが斬る「ビットコインで大損した人たちを笑えない事情」
ホリエモンが「次の基幹産業は宇宙ビジネスだ」と断言する理由
堀江貴文に聞く インターステラテクノロジズと民間宇宙ビジネスの現在地Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング