閑話休題。現在では、いわゆるモノコックシャシーのクルマはもうほとんどがこのTWBを使ってシャシーが作られているのだが、こうしたモノコックシャシーの進化と分断されて、これまでラダーフレームにはTWBの技術は入っていなかった。今回GA-Fプラットフォームでは、ラダーフレームに初めてこのTWBを採用した。これによって、軽く、強く、剛性の高い新時代のラダーシャシーが誕生したわけだ。
実はランクルからこの技術は入っていたことになるが、運悪くランクルの発表タイミングはコロナであらゆるイベントが自粛になっており、試乗会も無くなった。いきなり個別に広報車を借り出して試乗という流れで、展示物もなければ技術者との面談もできなかった。
今回LXの試乗会では、GA-Fプラットフォームのベアシャシーが展示されており、普通の角パイプを曲げて作られるラダーフレームに比べて異様に多い溶接ポイントが気になった筆者がエンジニアに質問したところ、このTWBの採用が判明したということだ。ということで、このGA-Fプラットフォームはラダーフレームの革新を実現したシャシーであるといえるのである。
さて、クルマはどうだったのか? レクサスがランクルと異なる最大のポイントは、サスペンションに油圧とガスを用いたサブシステムを導入した点にある。アクティブハイトコントロール(AHC)と呼ばれるこのシステムは、メインとなる通常の金属ばねとダンパーに加えて、シャシー横腹に抱えたタンクにガスとオイルが仕込まれており、車高調整と、ばねレート及び減衰力調整ができる。
舗装路を普通に走っていても、というかそういう場面で一番違いを感じた。悪路走破性を高める必要があるこうしたクルマの場合、ホイールトラベルを長くすると同時に伸び側減衰力を弱く設定しないと、タイヤが浮いてしまい岩場などでトラクションが稼げなくなる。そのため全体的な傾向として、舗装道路での極初期ロールが速い傾向になりがちだ。ランドローバーの初代ディスカバリーなどは、舗装路で乗ると船のような揺れ方をした。そうした過去のクロカン車と比較すればランクルも革命的に良くなっていたのだが、レクサスLXではそれが更に改善された。それがAHCの効果である。
もう一点は、シャシーとアッパーボディの防振マウントで、ここの取り付けマウントをより入念に行ったことでボディに伝わる音振が改善されている。単純にいって静かである。
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