観光客は復帰時の23倍に 波及効果は1兆円、復帰50年データで見る沖縄の観光コロナ禍で脆弱さも(1/2 ページ)

» 2022年05月16日 07時00分 公開
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 沖縄の基幹産業である観光産業は入域観光客数が1千万人を超えるなど目覚ましい発展を遂げた。経済波及効果で見た場合、1兆円にも上るとされる。一方、観光客1人当たりの消費額や平均滞在日数は伸び悩む。コロナ禍では深刻な影響を受けるなど外的要因に左右されやすい観光産業の脆弱(ぜいじゃく)さも課題となっている。主な指標で50年を振り返る。(政経部・石川亮太、知念豊

入域客数と観光収入、復帰時の20倍超に増

 1972年の復帰から順調に増加してきた入域観光客数は2019年に1016万人となり、初めて1千万人を突破し、復帰時の44万人の約23倍に拡大した。

 海洋博ショックや米同時多発テロなどの危機を乗り越え、2008年に600万人を突破。その後、リーマンショックによる景気低迷や新型インフルエンザ、東日本大震災の影響などで一時は伸び悩んだが、12年には回復の兆しを見せ、13年から7年連続で過去最高を更新していた。

観光客数と観光収入の推移

 20年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う旅行の自粛などで前年比63%減の374万人となり、過去最大の落ち込み。長引くコロナの影響で、21年も301万人にとどまり、外国人観光客は、入国制限などが影響し、暦年では復帰後初めてゼロとなった。

 観光収入は復帰時の324億円から入域観光客数の増加に比例して増加。13年以降は入域観光客数が大幅に増加し、19年は過去最高の7483億円に上った。近年は4千億円台で推移する公共投資や、2千億円台の基地収入を大きく上回っている。20年はコロナの影響で3065億円に落ち込んだ。22年度から10年間の第6次県観光振興基本計画案では1兆2千億円を目標値に掲げている。

 コロナで大打撃を受けた基幹産業の立て直しに向け、観光ブランドの強化やDXを取り入れた観光の高度化・多様化、質の向上が求められている。

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