決算全体をみると、テンセントにとって伸びしろが最も大きいのはフィンテック・企業サービスで、1-3月期の売上高は同10%増の428億元(約8100億円)だった。ただ、同分野に注力するのはアリババや米企業を含めたメガIT全体のトレンドであり、クラウドやオンライン会議システムなどは、競争も激化している。
テンセントは有望スタートアップに出資するVCでもあり、出資先の成長から大きな利益を得てきたが、中国IT企業株は1年近く下落トレンドにあり、ここにきて世界の株式市場も不安定化している。ソフトバンクビジョンファンドが苦戦しているのと同様に、テンセントの1-3月の投資収益も大きく減少し、同社は昨年から投資ポートフォリオの見直しを進めている。
決算説明会でも、テンセントは当面はコスト削減を続ける方針を示した。当局の規制が及ばない海外事業とtoBビジネスを育てながら、コストを抑制し国内の環境が好転するのを待つようだ。
海外展開を加速するテンセントは21年、ロサンゼルスに米国5拠点目となるオフィスを開設している
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。 最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」 (小学館新書)。twitter:sanadi37 。
株価低迷でも年収4500万円、好待遇維持するテンセントの狙い
テンセントが、従業員の4分の1に対して1人あたり116万円の株式報酬を付与すると発表した。またSNSへ流出した同社社員の収入明細によれば、税引き後の今年の年収は約4500万円だったという。今回はテンセントのほかアリババ、バイトダンス、シャオミファーウェイ、シャオミなどの報酬や福利厚生、労働の実態などを紹介する。
テンセント、株価急落に続き「未成年者保護法違反」で提訴。毒物ゲーム「王者栄耀」が標的に
テンセントの株価が8月3日、一時10%下落した。中国政府系メディア・経済観察報による、同社の大ヒットオンラインゲームを名指しした批判記事が原因だ。同ゲームはこれまでも国営メディアに毒物扱いされてきたが、株価を直撃したのは今回が初。投資家は当面、国営メディアの論説に振り回されるのかもしれない。
学歴社会是正へ「入試移民」「進学実績公表」「学力特待生」厳禁、中国当局の本気度
先日の大学入試共通テストは津波、刺傷事件、カンニング、過去最低の平均点と、歴史に残る混乱ぶりだった。中国では過熱する受験戦争、学歴社会を抑えるため、21年7月に宿題と学習塾の規制、22年1月に大学入試の競争を抑制する規制が発表。今回は、中国の“不公平”な大学入試制度と、1月の規制の中身を紹介する。
新卒年収4000万円も ファーウェイ「天才少年」を世界で公募開始
中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)は2019年6月、世界から「天才少年」を招聘すると表明し、以降、破格の待遇で中国のトップ大学から20代の新鋭をかき集めてきた。そして先月、世界に向け「学歴不問、5倍の年収」で天才少年の公募を開始。日本からも優秀な若手研究者が採用されるかもしれない。
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