決算全体をみると、テンセントにとって伸びしろが最も大きいのはフィンテック・企業サービスで、1-3月期の売上高は同10%増の428億元(約8100億円)だった。ただ、同分野に注力するのはアリババや米企業を含めたメガIT全体のトレンドであり、クラウドやオンライン会議システムなどは、競争も激化している。
テンセントは有望スタートアップに出資するVCでもあり、出資先の成長から大きな利益を得てきたが、中国IT企業株は1年近く下落トレンドにあり、ここにきて世界の株式市場も不安定化している。ソフトバンクビジョンファンドが苦戦しているのと同様に、テンセントの1-3月の投資収益も大きく減少し、同社は昨年から投資ポートフォリオの見直しを進めている。
決算説明会でも、テンセントは当面はコスト削減を続ける方針を示した。当局の規制が及ばない海外事業とtoBビジネスを育てながら、コストを抑制し国内の環境が好転するのを待つようだ。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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