無印良品がプロデュースする団地とは? 商店街や広場まで丸ごとリノベ、堂前社長「ものすごく可能性がある」若い人に訴求(3/3 ページ)

» 2022年05月27日 09時30分 公開
[秋山未里ITmedia]
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ビジネスとして、成り立つのか

 ただし、こうした取り組みは都心に出店するよりも商圏が狭くなる。ビジネスとして成り立つのかという問いに対し、「すでに商圏人口7〜8万人のエリアには出店して成り立っています。(より少ない商圏人口の地域も)おそらく大丈夫だと思います」と自信を見せる。

 「われわれが販売するものは“生活の基本”で“生きている限りは必ず必要となるもの”です。そうしたものを、十分安く、しかし利益が出るように作っています。絞られたカテゴリーのお店が3万人や5万人などの商圏人口の少ない街に出ていくと、固定費をカバーする売り上げにならないかもしれません。しかしわれわれは衣服も、生活用品も、食品も……と生活の基本の全てを提供する下地があるので、ミニマムな人数でも、十分まかなえる売り上げがつくれる可能性があります。(地方を中心に)買い物難民が出てきている話も聞きますが、いろんなカテゴリーを販売することで、ビジネスが成り立つのではないかと考えています」(堂前社長)

団地と広場のリノベーションのイメージ(4社の協定発表会にて)

地域主体で進めないと、実現できない

 今後、どのような地域に取り組みを展開していきたいかと聞くと、現在いくつか話が進んでいる地域はあるものの“こういう地域に進出したい”という枠組みはないと説明する。

 「われわれが行って、自分たちだけで何かをやるというのは難しい分野です。町おこしでよくあるのは、東京からやってきた人がワーッと盛り上げて、帰ってしまったら何も残らなかったということ。そういう状況はよろしくないので、あくまで『地域を盛り上げたい、そのための一歩目の知恵や集客力が欲しい』という思いを持つ現地の方々がいる場合に、役に立てるものだと思います」

 堂前社長は「これまでも、『こんなことがしたいのだけれど、手伝ってくれませんか』という問い合わせをいただいて、取り組んできました。そうでないと、難しいのだと思います」とし、熱い思いを持った地域が主体となって進める取り組みに役立つ形で、地域活性化に携わっていく方針を述べた。

花見川団地で実証実験中の、自動運転バス「GACHA」の前で。左から千葉市の神谷俊一市長、URの久保木茂文氏、良品計画の堂前宣夫代表取締役社長
現在の花見川団地の商店街
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