原材料費や物流費の高騰で、多くのメーカーや飲食業が値上げを発表しています。今後インフレとなり、多少高くなった商品でも消費者が購入するようになるかというと、そうはならないと予想します。
昨今政府が講じてきた政策は、リフレーション政策の傾向があります。ある一定の水準まで物価を引き上げるために金融政策や財政政策を実施し、市場への資金循環を促進させ、デフレから脱却させようとしてきました。しかしこれはインフレ期待と賃金アップがセットにならなくては成り立ちません。物価だけが上がって賃金が上がらないと、余計に消費は冷え込み、生産量も増えずスタグフレーション(景気停滞)の懸念が浮上してしまいます。
そのような現状の中で、消費者は品質と低価格の両立を求め続けることでしょう。業務スーパーの商品力と価格力はまさにこれに合致しているのです。
業務スーパーの強さの1つであるフランチャイズの仕組みを見ると、独自路線を歩んでいることが分かります。まず、フランチャイズ加盟店が負担するロイヤルティーは、神戸物産から商品を仕入れる額の1%程度だということです。多くのフランチャイズビジネスでは粗利の40%前後がロイヤルティーとなることが通例ですから、比較するとおおよそ10倍近い差が生じることになります。本部が加盟店に費用メリットと独自商品を提供したうえで、店舗に裁量権も持たせています。各店舗は仕入れ先やテナントを選べる裁量があるのです。同じ業務スーパーなのに、店舗によっては100円ショップや地元で人気の総菜店、独自仕入れの商品が展開されているなど、個性がさまざまなのです。
それが本部では対応しきれない個店別の細かなニーズやエリア特性に対応することにつながっています。
脱チェーンストアで個店対応力が重要テーマとして掲げられる小売り業界において、業務スーパーの展開はまさに時代にマッチしているモデルです。
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