JR東海、JR東、JAL、ANA、東京メトロ まさかの「呉越同舟キャンペーン」はなぜ生まれたか交流人口を取り戻せるか(2/4 ページ)

» 2022年06月16日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

東京へ「ただいま」と帰ってきた気持ちで

 賞品は5社の企業ごとに分かれており、ANAとJALは東京(羽田空港)行き国内線往復航空券を1組2名に提供する。JR東海は「ずらし旅」首都圏着旅行商品が2組4名に、東京メトロでは東京メトロ&都営地下鉄72時間乗り放題券や東京スカイツリーの入場券など7点セットにしたものを5組10名に。JR東日本は東京駅特別見学と東京ステーションホテルに宿泊できるツアーを1組2名に抽選で提供する内容としている。

ANA、JR東海、東京メトロ SNSプレゼントキャンペーン商品内容
JAL、JR東日本 SNSプレゼントキャンペーン商品内容

 さらに、ANAでは東京を満喫できる航空券と宿泊をセットにした独自の旅行賞品を販売する。「ただいま東京×空港アクセスナビマイルキャンペーン」と題して、旅行商品をお得に買える「ただいま東京」タイムセールプランを期間限定で実施するほか、空港などに設置されているANA直営の土産物店「ANA FESTA」で1000円以上の買い物をすると、5%割引に加え150マイルを贈呈する取り組みなどを始める。

ANAは東京を満喫できる航空券と宿泊をセットにした独自の旅行賞品を販売する

 キャンペーンの狙いについて、JR東海の執行役員・営業本部長を務める杉浦雅也氏はこう話す。

 「長い間のコロナ禍で、東京への旅行を我慢していた方が多くいるのではないかと考えています。それで今回、コロナが落ち着きつつある中、全国各地からのお客さまが久しぶりの東京へ『ただいま』と帰ってきたような気持ちで旅行に出かけていただけますように、東京の旅客輸送事業社5社が共同で『ただいま東京』キャンペーンを展開することになりました」

JR東海の執行役員・営業本部長を務める杉浦雅也氏(左)

 キャンペーンの背景にあるのが、東京からの地方に向けた人の移動に対し、地方から東京に向けた人の移動の回復が弱いという点だ。22年のゴールデンウィーク期間中の人の移動の戻り率でも、東京発の旅行商品と東京行きの商品とでは、有意な差があったという。

 この傾向は6月以降でも変わっていない。JR東海グループの旅行会社、JR東海ツアーズの旅行商品の売れ行きをコロナ禍前の18年度と比較してみても、全体の旅行商品は60%の需要が戻ってきているのに対し、地方から首都圏着の旅行商品は46%の需要しか戻ってきていないという。実に、14ポイントの差がついているのだ。

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