なぜ増加した「転売ヤー」? 日本のiPhoneが狙われる房野麻子の「モバイルチェック」(2/4 ページ)

» 2022年06月21日 07時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

なぜ転売ヤーが跋扈(ばっこ)するようになったのか

 なぜ転売ヤーが跋扈(ばっこ)するようになったのか。それは、回線契約がなくても、大幅に割引された価格で端末を購入できるようになったためだ。例えば今年の春商戦、「iPhone SE(第3世代)」が「一括1円」で販売されたのは記憶に新しい。

 この場合、1円で入手するにはMNP、つまり回線契約が必要だ。しかし、回線契約を条件とした割引のほかに、「店舗独自の割引」として3万円以上の大幅な割引が行われていた。2019年の改正電気通信事業法によって、回線契約を伴う端末購入の場合は割引の上限が原則、税抜2万円までに制限されているが、端末のみ販売する場合の値引きには特に制限がない。単なる物販だからだ。

 人気端末のiPhoneが3万円以上も安く買える。しかも、開封しなければ中古ショップで高額で引き取ってもらえる。転売ヤーが目を付けるのは当然だろう。

 転売ヤーの何が問題かといえば、人気端末が転売ヤーに買い占められ、その端末を本当に使いたいと望んでいる人が入手できない状況が起きていることだ。また、転売で得た利益が反社会的な目的に利用される恐れもあるとされる。総務省の資料では、転売ヤーに売らざるを得ないことが、販売代理店スタッフの心理的な負担となっていることも指摘されている。

転売ヤーによる問題(総務省資料)

 また、MNPを利用すればさらに安く入手できることから、料金の安いMVNOを選び、すぐに解約することを繰り返す「ホッピングMNP」と呼ばれる行動がMVNOの業務負担となっており、これも問題視されている。実際に、MVNOで短期解約が増えたというデータもある。

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