仕事の傍ら、立体アートの現役クリエイターとしても活動中のBBコリーさん。立体アートといえば、陶芸や手芸などをイメージしがちだが、BBコリーさんが主に取り組むのは、空き箱などを活用した「紙細工」と、テクノロジーを活用した「電子工作」だ。現代アートの一種で、特にテクノロジーを活用した作品としては、近年、デジタルアート集団「チームラボ」(東京都千代田区)がCGや、プロジェクションマッピングなどを使った作品を国内外で制作しており、人々の注目を集めている。
こうした制作活動をするきっかけとなったのは、学生時代のものづくりでの経験だ。幼少期からレゴブロックや空き箱を使った工作が好きだったことから、高専に進学。北九州高専在学中は「全国高等専門学校ロボットコンテスト」(高専ロボコン)への出場を目指し、部活動に没頭した。
卒業後、社会人となり「時間とお金に余裕ができた」として、アート制作を本格化させた。これまでに制作したカロリーメイト(大塚製薬)の空き箱を使った紙細工の「ショベルカー」や、「絶対にジャンケンに勝てる手袋」などには「過去の経験が役に立っている」と話す。
完全にアートの世界に魅了されたBBコリーさん。これまでの活動が評価され、21年度にはICTを使ったクリエイターを育成しようと、総務省と角川アスキー総合研究所が実施する「異能vationプログラム」の採択を受け、国の支援を受けながら制作活動を行った。
BBコリーさんは自身の作風について「チームラボはテクノロジーを全面に押し出した作風が特徴だが、自分の作品はデジタルとアナログを使った“人に寄り添った”ものが多い」と語る。確かに今回、Twitterで話題となった作品も、手作り感があり、普段アートに馴染みがない人でも親しみやすいように感じる。
話題になった作品では「時間」を、「絶対にジャンケンに勝てる手袋」では「勝利」という概念をそれぞれ具現化したと解説するBBコリーさん。今後に向けて「今後も人に寄り添うことを心がけながら、日常生活の概念を具現化するような作品を制作し、自分自身を表現していきたい」としている。
日本最大級のアート見本市「アートフェア東京」などを手掛けるエートーキョー(東京都港区)が3月に発表した「日本のアート産業に関する市場調査2021」によると、美術品の世界の市場規模は約7兆円。これに対し、日本国内の市場規模は2363億円だという。
同社はブロックチェーン技術を使った所有証明書付きデジタルデータ「NFT」(非代替性トークン)についても「近年話題のNFTのようにオンラインが主戦場のアート作品も登場している」と、NFTがアート領域に進出していることに言及している。
仏BNPパリバの調査会社「L’Atelier」が発表したレポートによると、21年のNFTの取引額は176億ドル(約2兆円)に膨れ上がり、前年比2万1000倍と脅威的な成長を遂げたという。NFT同様、チームラボやBBコリーさんが手掛けるようなデジタルアート作品の市場規模が今後も拡大する可能性がある。
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