テレビ朝日、家庭の電力使用量グラフから「テレビ」削除で物議 「丁寧さに欠けていた」「テレビ」の電力使用量は全体の8.2%(2/3 ページ)

» 2022年06月30日 20時37分 公開
[ITmedia]

「テレビ」削除理由は「全体の文字数減らすため」

 テレ朝は取材に対し「ご指摘の円グラフは6月27日(月)の『スーパーJチャンネル』で放送したものと同じ」と回答。Twitterで拡散された画像を放送に使用したことを認めた。経産省の資料を引用してグラフを作成したという。

photo 「スーパーJチャンネル」(出典:テレビ朝日公式Webサイト)

 円グラフからテレビを削除した理由を問うと「エアコンの電気の使用割合をお伝えするのが主眼だったため」とした上で「エアコン、冷蔵庫、照明、給湯、炊事まではグラフ上に記したが、見やすいように全体の文字数を減らすため、洗濯機・乾燥機以降の項目についてはその他としてまとめた」と説明した。

 その他の中に「テレビ・DVD」(8.2%)が含まれていたものの「円グラフ作成の過程で丁寧さに欠けていたが、『テレビ・DVD』(8.2%)を隠す意図は全くなかった」とし、意図的な削除との見方は明確に否定した。

 ただ、視聴者に誤解を与えたのは事実だ。このため、同社は6月30日付けの同番組で、「テレビ・DVD」を含んだ円グラフを放送し、改善に取り組んだという。

「テレビ消せばエアコンの1.7倍の節電効果」レポートが話題に

 家庭での電力消費量を巡っては、野村総合研究所(野村総研)が2011年に発表したレポートで「テレビ消せばエアコンの1.7倍の節電効果」とも受け取れるデータを盛り込んでいたことが話題になった。野村総研は「当時と今では家電の性能が異なる。参考程度にとどめてほしい」と注意を呼び掛けているものの、記事への反応をみると、テレビの電源を消すことで一定の節電効果があると受け止める読者が多い。

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photo 話題になった野村総研のレポート内容

 これに加え、テレビ局は国民の財産でもある公共の電波を活用して、事業を運営している。放送法第4条でも「報道は事実をまげないですること」と明記している。テレビへの不信感を避けるためにも、今後は正確な報道が求められそうだ。

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