ラグビー中継に「22万円!」 凸版印刷の“見たことがないトライ”が面白い週末に「へえ」な話(3/5 ページ)

» 2022年07月10日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

チケット価格の決め方

 両方の声を受けて、凸版印刷のプロジェクトチームはこのように考えた。「うまくいった点は残して、うまくいかなかった点を解決する。そんなイベントを実施することはできないか」と。パブリックビューイングのような形も検討したものの、快適性を向上させる案が見つからなかった。雨天時の観戦は大変だし、ワンランク上の料理を提供することも難しい。

 そんなことを考えている中で、また知見を蓄える機会が訪れた。21年に実施された代表戦のときにも、凸版印刷は会場の運営などを携わることに。「元ラグビー選手とファンとの交流の場を実施したときに、2つのパターンを試してみました。1つは、元ラグビー選手が試合を解説する。もう1つは、ファンの席に近づいて、実際に会話を交わす。後日、アンケートを実施したところ、後者の評価が高いことが分かってきました」(プロジェクトチームの植松直樹さん)

 このほかにも、代表チームにかかわっていく中で、さまざまなことを学んでいった。これはいい、これはいまいち、これはスゴくいい、これはダメといった感じで、ふるいかけていって、今回の企画を進めていったのだ。

 もう1つの驚き、チケットの価格は、どのようにして決めたのだろうか。プロジェクトのメンバーから「5000〜1万円でもいいのでは?」といった声がでてきたが、その案は見送ることに。スポーツビジネスデザイン室の大木茂男さんに聞いたところ、「価格を安くすれば、パブリックビューイングやスポーツバーと同じ土俵にのぼることになりますよね。そうではなく、これまでになかったイベントをやってみようという話にまとまったので、価格は『それ以上』に設定することにしました」とのこと。

 さまざまな案がでてきた中で、試合会場に目をつける。場所は、愛知県の豊田スタジアムである。東京から新幹線の往復チケット、宿泊費、食費などを考えると、1人5万円ほどはかかる。であれば、それに近い金額に設定しても、お客さんは来てくれるのではないかと見込んだ。

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