後払い商品を現金化する“ほぼヤミ金”、狙われる18歳新成人 キャッシュレス決済の行方は?小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)

» 2022年07月11日 05時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

 ただ、コード決済にかなりの高額をチャージすることは少ないため「多くても(会計が)数千円以下の時しか使わない」という人が多い。それ以上の高額な場合は、どうしてもクレジットカードか現金で決済することになる。「コード決済の普及」という意味では、この数年で一気に進んだのだが、金額ベースではまだまだということなのだろう。実際に金額ベースでの使用率を見てみると、クレジットカードが27.7%、電子マネー2.0%、コード決済1.8%、デビットカード0.92%ということであり、コード決済の存在感はまだ限定的なようだ。

「キャッシュレス支払額及び決済比率の推移」、経済産業省の公式サイトより

 とはいえ、コード決済が使える店舗の数が一気に増えたことは間違いない。これまではクレジットカード端末など初期投資がかかる決済手段が使えなかった個人店舗などでも、コード決済はできるという店も増え、かなり多くの場所でキャッシュレス支払いが可能になった。

シェア確保に成功したPayPay

 コード決済が急速に浸透したのは、キャッシュレス推進事業という予算投入もあるが、実体的にはPayPayの強烈な普及活動によるところは大きいだろう。18年の設立以降の3年間でPayPayが累積した赤字は1900億円を上回るという。膨大な広告宣伝をかけ、「100億円あげちゃうキャンペーン」などでの還元に資金をつぎ込んで、コード決済におけるPayPayの圧倒的なシェアを確保した。

 MMD研究所の調べによれば、2021年時点のコード決済におけるPayPayのシェアは45.4%となり、ともに16.7%のd払い、楽天ペイを圧倒する基盤を築いている。ソフトバンク流の物量作戦でシェアを確保するという手法が功を奏したPayPayは、これからさまざまな形で投資回収に入ってくることになるだろう。

最も利用しているQRコード決済サービス、MMD研究所の公式サイトより

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