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産業医が警告! 「フルリモート」や「1日4件のWeb会議」が危険なワケその働き方、大丈夫?(1/5 ページ)

» 2022年07月21日 07時00分 公開
[志村哲祥ITmedia]

 新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、リモートワークが広まりました。そのメリットを生かして、地方への移住など住む場所を自由に選ぶ人も出ており、新しいライフスタイルが浸透しつつあります。

 一方で、リモートワークの副作用も明らかになってきました。

 リモートワークは健康的な働き方の実現に有効ですが、会議過多やフルリモートなどは「やりすぎ注意」である理由を解説します。

著者:志村哲祥(しむら・あきよし) 精神科・心療内科・睡眠医学・産業医

東京医科大学精神医学分野兼任講師。株式会社こどもみらい R&D統括。睡眠およびメンタルヘルスと企業の生産性やストレス対策に関する研究のトップランナー。

産学連携企業において、「利益の出る健康経営」「睡眠改善プログラム」の取り組みを行い、複数の学校で退学率90%減、コールセンターにおいて離職率74.5%減を達成するなど、さまざまな成果をあげる。

また、そのノウハウをもとに、本人が自覚しないストレス「隠れストレス負債」を発見、改善するアプリ「ANBAI」(提供:DUMSCO)も監修する。

体内時計を狂わす「フルリモート」

 ワーク・ライフバランスとDUMSCOが実施した調査では、1日4件のオンライン会議を境に、高ストレス者が増えることが分かりました。1日平均3件の会議を実施している人のうち高ストレス者は14%ですが、1日平均4件の場合は、高ストレス者が38%に達します。

画像はDUMSCO提供

 私が籍をおく東京医科大学の調査では、リモートワークの存在自体はストレスを軽減するものの、フルリモートワークでは生産性が下がることが明らかになっています。

 コロナ前後のリモートワーク頻度に関する調査を実施した結果、リモートワークの頻度が増え、特にフルリモートになると、 睡眠リズムが乱れ、夜型化しやすいということが分かりました。

画像は筆者作成

 原因となるのは、生活環境です。人間は朝や昼に充分光を浴びることで体内時計を整えていますが、リモートワークではつい家から出なくなってしまうことも多く、出勤のために朝日を浴びるということもなくなってしまいがちです。フルリモートだと、場合によっては1週間1度もお日さまを見ないということすら生じてしまいます。

 それにより日中に日光を浴びず、さらに夜はつい遅い時間までPCを開いてしまうことで、体内時計が狂い、睡眠に影響を及ぼします。

 また、体内時計を整えるには、毎日同じ時間にご飯を食べることが望ましいのですが、リモートワークでも、不規則になってしまうことがあります。食事も睡眠を整えるのに必要な要素の一つです。この、体内時計の乱れと睡眠の悪化が不調を生じ、生産性の低下につながることが分かりました。

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