では、睡眠はどの程度ストレスに関係するのでしょうか。
睡眠とストレスを語る上で欠かせないのが、交感神経と副交感神経です。交感神経は人が活発に活動するための、車のアクセルに相当する役割で、副交感神経は安静時や睡眠時などに活性化する、車で言うブレーキに相当する役割です。この2つのモードを、環境の変化に合わせて自律的に調整してくれるのが「自律神経」です。
「ここは安心だ」と思える環境や心身の状態、つまり副交感神経優位の時でなければ、人はリラックスしてゆっくり眠ることができません。
そのため、ストレス過多の状況に陥ると、中途覚醒の増加や睡眠時間の減少など、さまざまな観点で睡眠に影響を及ぼすことが分かっています。
その中でも特に「睡眠時間」「睡眠の質」「昼間に感じる眠気」に関する問題を取り除かないと、将来的な不調のリスクが高まると分かってきました。
睡眠時間について、世代ごとに睡眠時間と生産性の相関度を調べたわれわれ東京医科大学の研究では、勤労世代ではおおむね7時間程度の睡眠時間をとるのが理想的で、33歳以下では6時間を下回ると不調による生産性の低下を生じやすくなることが明らかになっています。34〜50歳の世代でも、若い世代よりは小さいものの、少なくない影響が見られます。
一方、勤労者においてはどの世代でも、睡眠時間が5時間を切ると深刻な心身の不調をきたしやすいことが複数の研究で示されています。
また、ワーク・ライフバランスとDUMSCOが実施した調査では、一定の睡眠時間を確保できていれば、1日4件を超える会議過多でも、高ストレス者になりづらいことが明らかになっています。
このような結果から、勤労者世代では睡眠時間はできれば7時間程度は確保して欲しい、決して5時間は下回らないようにして欲しいのですが、睡眠の量以外の観点で言うと、前述した「睡眠の質」「昼間に感じる眠気」なども重要で、改善の可能性があります。
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