純エンジン車(ICE)であっても、最近のクルマはメンテナンスフリー化が進んでいる。自動車メーカーはサプライヤーと一体となってゴム類や液体の耐久性を化学的な手法で高め、金属部品も材質や表面処理、形状や寸法精度を追求することで、摩耗や劣化に強い部品を作り上げ、長期間の使用に堪える機械へと練り上げてきた。
それでもエンジンオイルの交換だけは欠かすことができないメンテナンスだ。それはエンジンオイルが過酷な条件下でさまざまな役割をこなすという、実に複雑かつ重要なポジションで消耗や劣化から免れないアイテムだからである。
リッター100ps(排気量1000ccあたりの出力)を超える高性能エンジンも、リッター30キロ(ガソリン1Lあたりの走行距離)を超えるハイブリッドカーも、そのために開発された高性能オイルが走りを支えている。
そしてディーラーがオイル交換キャンペーンなどで集客を行なうのは、オイル交換が必須だけにクルマを持ち込ませる強力な手段と成り得ているからだ。
それだけに、オイル管理の善し悪しで、エンジンのコンディションは大きく変わってくる。走行10万キロを超えるようなクルマでも静かで元気よく走るクルマがある一方で、異音を発し燃費もガタ落ち、苦しげに走るクルマもあるのは、オイル交換を始めとするメンテナンスによる差が何よりも大きい。
自動車メーカー推奨のオイル交換サイクルは、ブランドや車種によっても異なるが、半年または1万キロから2万キロごとといったところ。これは排気量や過給器の有無、エンジンオイル容量、オイルの品質によっても変わってくる。また通常想定した使い方とは異なる過酷な使用環境、いわゆるシビアコンディションでの交換サイクルは別途指定しているメーカーがほとんどだ。
しかし通常のエンジンオイル交換の半分のタイミングでオイル交換することは、なかなか難しい。真夏の渋滞や、頻繁なアイドリングストップもシビアコンディションではあるが、オーナーは意識しないため、通常の交換サイクルでオイル交換するケースは多い。また仕事で毎日たくさんの距離を走るクルマの場合、2500キロあるいは3カ月ごとにオイル交換するのはついつい過ぎてしまいがちになってしまうこともあるだろう。
それでも自動車メーカーはある程度の余裕をもって設定しているから、そうした怠慢が直接トラブルへと結び付くことは珍しい。営業で毎日飛び歩いているような車両なら、むしろ好調であるくらいだ。
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