ロシアからの石油や天然ガスが途絶えても、米国のシェールオイルがカバーできる?高根英幸 「クルマのミライ」(1/4 ページ)

» 2022年03月15日 07時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

 ロシアによるウクライナ侵攻が続いていることで、原油価格が急上昇している。それでなくても中国の旺盛な需要と中東の産油国の増産見送りにより、昨今はジワジワと原油価格が上昇しており、ドライバーや社用車を多く扱う企業は悲鳴を上げている。

 民主党政権時代に、燃料に課せられた税金を半減させるトリガー条項というものがある。その発動に岸田政権は否定的な立場を維持してきたが、さすがにこれ以上燃料価格が上昇したらトリガー条項の発動を検討せざるを得ないという傾向も見えてきた。

 欧州では再生可能エネルギーだけではすべてのエネルギー需要をカバーできないことが分かってくると、原発や天然ガスの利用を再び検討し始めた。こうなるとEVの環境における優位性はかなり低下して、ハイブリッド車の優位性が上昇してくるハズだ。

 一方で、ロシアの石油、天然ガスを遮断して欧州ほか世界の国々はやっていけるのか、という問題が残る。この先、化石燃料の供給不足や価格高騰により世界経済が不安定になってしまうのはどこの国も避けたいと考えるからだ。

 中東の産油国が集うOPECは今回のウクライナ危機によって原油の増産を検討し始めているが、それ以外にも原油の供給を増強させようという動きがある。それは米国のシェールオイル業界だ。

シェールオイルは、地中深くのシェール層(頁岩層)に閉じ込められた原油のことで、従来の油田同様、天然ガスも含まれている。いくつもの層が折り重なるシェール層から取り出すのは不可能と思われてきたが、技術開発により10年ほど前からシェールオイルが量産されるようになった。
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