ロシアからの石油や天然ガスが途絶えても、米国のシェールオイルがカバーできる?高根英幸 「クルマのミライ」(4/4 ページ)

» 2022年03月15日 07時00分 公開
[高根英幸ITmedia]
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原油価格の上昇が加速させる、新たなビジネス

 代替燃料だけでなく、原油価格が上昇することで新たなビジネスが創成される可能性もある。プラスチックのより高度なリサイクルや代替材料の開発は急速に進むことだろう。それらも課題はコストであるとするなら、原油価格の上昇は追い風とも言える。

 クルマがEV一辺倒では実現不可能なように、エネルギーも原料素材も多様性を求めていくことが重要だ。化石燃料だけでなく、太陽光に偏り過ぎることもなく、植物由来の原料や自然エネルギーも柔軟に幅広く活用すべきなのだ。それは地政学上のリスクだけでなく、災害リスクや環境への影響を抑えるためにもつながる。

 それにしても恐ろしいのは、地球の温暖化対策や環境保全といった目標が、たった一人の暴君の言動で木端微塵に狂わされようとしていることだ。ロシアによるウクライナ侵攻は、一刻も早く止めなければならない。その上で、エネルギー政策の転換を本気で考えなければならない事態に直面している。

筆者プロフィール:高根英幸

芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmediaビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。企業向けやシニア向けのドライバー研修事業を行う「ショーファーデプト」でチーフインストラクターも務める。


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