河野氏が就任当日の就任会見を延期するのには前触れがあった。河野氏は20年9月、菅政権下で行政・規制改革担当相として入閣。当時の就任会見で「例えば、この記者会見も各省に大臣が散ってやれば、もう今ごろ皆が終わって寝てるはずだ。それを延々ここ(首相官邸)でやるというのは前例主義、既得権、権威主義の最たるものだ」と主張した。
当時は各省庁ではなく、首相官邸に集まり、各大臣が閣僚名簿順に会見に臨むのが慣例で、河野氏は14番目だった。就任会見が深夜1時ごろに始まったことから「こんなものさっさとやめたらいい」と批判し「霞が関のブラックなところを是正しなければ人材が集まらない」と改善を訴えていた。
就任会見の在り方だけにとどまらず、過去には霞が関の業務改善を提案したこともあり、“物言う大臣”としての顔も持つ河野氏。行政・規制改革担当相時代には「FAXがあると、物理的に担当者が来なければならない。テレワークの阻害要因の一つ」として、霞が関でのFAX廃止を提言。全省庁での廃止には至っていないものの、河野氏の提言を踏まえ、外務省は一部を除き、FAXの利用を原則廃止に踏み切った。「ほぼ100%メールなどに切り替えている」(大臣官房総務課)という。
外務省の取り組みに対し、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が21年7月に、47都道府県の会社員約4000人(20〜69歳)に行った、FAXの利用状況に関する調査では、約半数に当たる49.7%が「勤務先でFAXを使用している」と回答。企業ではFAXを使用する習慣が根強いことが明らかになった。
(関連記事:外務省、“ほぼ”FAX廃止→原則メールに 企業では意外と現役?)
河野氏は1963年1月10日生まれの59歳。米ジョージタウン大学卒業後、富士ゼロックス勤務を経て、96年の衆議院議員選挙で初当選。以来、衆院議員を9期務めており、安倍政権では外務相や防衛相、菅政権では行政規制改革担当相とワクチン接種推進担当相を歴任した。
21年9月には自民党総裁選に出馬するも、決選投票で岸田氏に敗れた。直前まで自民党の広報部長を務めており、Twitterのフォロワー数は約247万人。トレンドサイト「meyou」のランキングによると、「政治家・議員」部門で橋下徹氏(約270万人)、故・安倍晋三元首相(約260万人)に次ぐ全体3位で、現職の国会議員ではトップだという。
約1年間の“充電期間”を経て、閣僚に復帰した河野氏。以前からTwitterを活用した発信力には定評がある。自身の強みをデジタル分野や公務員制度改革にどう生かすのか、注目を集めそうだ。
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