8月4日午前、東京駅から東北新幹線「はやぶさ13号」に乗車し、七夕まつりが開かれる仙台に向けて出発した。この日は一足早いお盆休暇を楽しむ乗客らで、全ての指定席が予約で埋まっていた。
出発から10分少々が経過した9時48分ごろ、「福島県沖を震源とする地震が発生した」とのニュース速報が記者のスマートフォンに届いた。宮城・福島で震度4。新幹線はその後20分ほど経過してから栃木・小山駅付近で一時停車した。車内には「さきほど起きた地震の影響で、運転を一時見合わせております」「お急ぎのところご迷惑をおかけし申し訳ございません」とのアナウンスが流れた。
車内アナウンスはその後も5〜10分置きに流れ、「福島〜白石蔵王駅間の線路付近で揺れが大きかった」「同駅間を時速70キロで走行し異常がないか確認中」――と、逐一新しい情報が伝えられた。アナウンスのたびに「申し訳ございません」との謝罪が付け加えられた。
一時停車は40〜50分に及んだが、この間、満席の車内はいたって平穏で、談笑する声や幼い子どもの笑い声が時々聞こえていた。
新幹線は運転再開後も一時停車を何度か繰り返しながら、定刻より1時間5分遅い正午過ぎに仙台駅に到着した。降車時も「本日は電車が遅れまして誠に申し訳ございません」とアナウンスが流れた。
この地震で東北新幹線は18本が運休、最大約2時間10分の遅れが生じ、2万1570人に影響が出たと伝えられている。
車内に居た記者の率直な感想は、逐一更新された情報を乗客に知らせてくれることへの好感と、何より、安全管理に徹してくれていることへの強い安心感だった。だからこそ、アナウンスのたびに繰り返される「おわび」には違和感を覚えた。地震という抗いようのない自然災害が遅延の原因なのに、一体誰が悪いのだろう――と。
今年3月16日午後11時36分頃に宮城・福島で震度6強の揺れを観測した地震では、東北新幹線は翌17日、那須塩原〜盛岡駅間の上下線で終日運転を見合わせた。この時も、新幹線の運行情報を知らせるJR東日本の公式Twitterアカウントは「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」と謝罪した。この地震では、福島〜白石蔵王駅間を走行していた下り「やまびこ223号」が脱線。東北新幹線は約1カ月後の4月14日に全線で運転を再開した。
このツイートには、「皆が無事だったので謝る必要はないです」「いつも安全運転ありがとう」――というリプライ(返信)が多数寄せられた。
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