なぜ税金のクレカ払いは手数料上乗せなのか? 「キャッシュレス法」で対応進めるデジタル庁金融ディスラプション(1/2 ページ)

» 2022年08月23日 19時36分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 この数年でキャッシュレス化が急速に進んだ。2020年に29.7%だった日本のキャッシュレス化比率は、22年には32.5%まで進捗。政府が目標とする「25年までに約4割」という数字も近づいてきた。

 ただしこれは民間のキャッシュレス支払いの数字だ。もう一つ、税金など国への支払いのキャッシュレス化は、現在進行系で対応が進んでいる。5月9日に交付された通称「キャッシュレス法」では、年間1万件以上の件数がある手続きについてはキャッシュレス化する見込みだ。

国への納付の多くがキャッシュレス化される見通しだ

 取り組みを担当するデジタル庁の占部祥企画官は「1万件以上のものについてはやろうと位置付けられている。今年度中に各省庁は取組方針について明らかにする。費用対効果の関係で、まずは件数の多いものから順次やっていく方針だ」と話す。

 これまで、国税や関税、国民年金保険料などはクレジットカード決済が可能になってきたが、その実現には個別の法律を改定する必要があった。キャッシュレス法が施行されれば、個々の法律を変えなくても、広く国の歳入一般の納付をキャッシュレス化することが可能になる。

 具体的には、年間100万件を超えるものについては、すでに対応スケジュールが公開されている。第1弾となるのが年間5000万件の納付がある自動車検査登録手数料、いわゆる車検料だ。こちらは23年1月に導入を予定し、準備中だ。

 そのほか、コロナ前で400万件を超える旅券(パスポート)、4500万件を超える登記、500万件を超える交通反則などの対応を予定している。クレジットカードだけでなく、電子マネー、コンビニ決済に対応する予定だ。

キャッシュレス法の概要
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