ビデオ会議のZoom 大口顧客重視の戦略に舵を切る

» 2022年08月24日 10時39分 公開
[金子正道ITmedia]

 コロナ禍による在宅勤務でビデオ会議でZoomを活用してきた方は多いだろう。Web会議ツールを提供する米Zoomビデオコミュニケーションズ(以下、ズーム)が大口顧客重視の事業戦略に舵を切っている。これまで、ズームは四半期決算で従業員10人以上の顧客数(中小事業者からが想定される)を発表していたが、8月22日(米国現地)に発表された2022年5−7月決算から開示を止めた。

 また、5月には個人ユーザーや中小事業者がよく利用していた、2人まで(1対1)の時間無制限の無料プランを40分までとし、会議の時間切れが気になる利用者を有料会員に誘導するプランを開始した。この有料会員への移行がなかなか進んでいないようだ。

photo (出所:ズーム公式Facebook)カリフォルニア州サンノゼにある本社

 ズームがオンラインビジネスと位置付ける個人ユーザーや中小事業者向けのサービス以上に、大口顧客(大企業)向けの生産性を高めるソリューションの提供に舵を切ったことは、今回の決算からも明らかだ。Zoom Oneというビデオ会議に加えてチャットやデジタルホワイトボードなどのパッケージ提供に力を注ぐ。また、5月にはカスタマーサポートをAIで自動化するソルビー(Solvvy)社の買収を決めている。大企業向けのコンタクトセンターや営業支援の拡張が狙いだ。

 

photo (出所:筆者作成)四半期売上高は21年2Q(2月―4月)以降10億ドル台で踏みとどまる

 今回発表した決算は、売上高が10億9945万ドル(前年同期比8%増)、純利益が4574万ドル(同86%減)であった。23年1月の通期見通しも、前回5月に発表した売上予想で45億3000万ドル〜45億5000万ドルだったのを、43億8500万ドル〜43億9500万ドルへと下方修正した。 

photo (出所:NASDAQ Webページ)21年末の終値は183.91ドルだった

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