今後、より競争が激しくなりそうなクイックコマース市場。その中で、どのような事業者が成功するでしょうか。命運を分ける要因となるであろう3つのポイントを紹介します。
ホワイトレーベルとは、他社メーカーで製造されたものを自社ブランドとして販売するビジネスの手法のことを指します。この手法をクイックコマースのサービスに当てはめると、小売業者が他社の構築したデリバリーサービスを自社のものとして利用できる、ということになります。
例えば、米大手デリバリーアプリのドアダッシュは、ドアダッシュドライブというホワイトレーベルサービスをセブン-イレブンなどの小売業者に提供しています。ドアダッシュドライブはそれぞれのお店が使っているPOSシステムと連携しているため、セブン-イレブンなどの小売業者はドアダッシュアプリに自分のお店を出店する必要はなく、自社アプリで集客と販売を行い、配送のみドアダッシュに委託することができるのです。
このように、小売業者がホワイトレーベルを利用することで得られるメリットには、以下のようなものが挙げられます。
こうした点を踏まえると、クイックコマースサービスを提供する上で、ホワイトレーベル対応をしているかどうかということは大きな差別化要因になることが分かります。また、ホワイトレーベルを提供する場合「付加価値としてどれだけ多くの種類のPOSシステムと連携できるか」「データ分析などを提供できるか」といった点も重要です。
前述のドアダッシュドライブも、Square、Toast、Oloなど、多数の主要なオンライン注文およびPOSプロバイダーと提携可能である点を大きくアピールしています。
ただし、冒頭でも述べた通り、米セブン-イレブンはスキップカート社を買収しました。その背景には、ドアダッシュへの依存度を下げ、徐々にデリバリー機能も内製化する方針があると推察できます。
ドアダッシュやウーバーイーツなどはドライバーとお店と消費者をつなげるマルチサイドプラットフォームです。一方、前述の水タバコで成長したクイックコマース大手のゴーパフなどは、自社の倉庫で在庫を管理することで、注文から30分以内に商品を受け取れる顧客体験を提供しています。
また、ゴーパフはゴーストキッチンなども独自に運営していることから、最近ではその垂直統合の仕組みを利用して、プライベートブランドのピザ「Mean Tomato Pizza」を販売したり、ハンバーガーショップチェーンのBurgerFiと提携をして夜中の3時までバーガーをトラックで販売したりする事業を行うなど、単なるデリバリーアプリの域に止まらない多角的な展開をして注目されています。
しかし、倉庫を独自に管理するには固定費の支出を伴います。
ブルームバーグによると、現在同社が運営する倉庫は約600あり、そのうちの半数が過去1年間に一気に設けたものだといいます。1拠点につき、平均約25万ドル(約3400万円)の開設費用が投じられているほか、いずれの倉庫にも運営・管理費といった固定コストが継続的に発生することから、固定費による利益率の圧迫が問題となり、これに昨今の景気悪化も相まって、今年7月には従業員の10%を削減、数十カ所の倉庫を閉鎖する事態となっています。
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