鎌倉市の観光客数はどうなっているのか。鎌倉市役所の担当者は「一時期、コロナ前の水準の6〜7割減にまで落ち込んだ。その時よりは、かなり回復している。現在は、コロナ前の8割くらいにまでは戻った」と説明する。回復途上ということだ。「鎌倉駅の駅前や小町通りを見る限りにぎわっているように見える。しかし、中心部から離れた北鎌倉、長谷(大仏)は戻っていない。3年ぶりに再開された由比ヶ浜をはじめとする3海水浴場も、「過去最低水準の人数しか来ていない」(同)とのことで、鎌倉駅周辺にしか観光客が集まらず、市内に広く拡散しない傾向に悩んでいる。
第7波の影響で、8月の中盤以降、目立って観光客数が落ちてきたと嘆く小町通りなど市街の店主も多い。
さて、小町通りを散策する観光客は、ほぼ100%鶴岡八幡宮を参詣するが、境内にある鎌倉殿の13人 大河ドラマ館が5カ月半ほどかけて入場者数が13万人に達した。鎌倉市が5億5000万円を投入し、目標は50万人としていたが、達成は微妙な情勢だ。ただし、コロナ禍の影響を除けば、毎年初詣に250万人も集める神社なので、年末年始の参拝客で突破するかもしれない。
北条家にゆかりがあり、源頼朝流刑の地とされる、静岡県伊豆の国市の韮山文化センター(韮山時代劇場)に設置された「鎌倉殿の13人 伊豆の国大河ドラマ館」は、7月19日に早々と、入館者数が目標とする10万人を突破した。
ドラマの当初は、伊豆半島が舞台の中心になっていた。大泉洋氏が演じた源頼朝人気が沸騰したことも、伊豆の国の大河ドラマ館の好調に結びついている。主人公の北条義時、尼将軍・北条政子を中心にストーリーが展開する後半に入り、鎌倉も巻き返したいところだ。
鎌倉市役所と鎌倉市観光協会では、「鎌倉殿・13人の重臣ゆかりの地をめぐるコース」を5種類策定してマップを制作。散策しやすいように標識も整備した。
ユニークな試みとしては、拡張現実による「AR法華堂」がある。これは、源頼朝と北条義時の墓所がある法華堂跡で実施されているもので、湘南工科大学コンピュータ応用学科の長澤・井上研究室が、鎌倉市教育委員会との協働により制作した。法華堂跡は源頼朝が開いた大倉幕府(現・清泉小学校の敷地あたり一帯)の北側、通称・大倉山の中腹にある。案内板のQRコードをスマートフォンで読み取れば、画面上にCGで再現された法華堂が出現する。
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