「写真撮影の際、手やカメラがホームドアを乗り越えてしまうと、警報が鳴り電車が走れなくなってしまいます。撮影の際はホームドアから距離を保つようご協力をお願いいたします」(Twitterより引用)
阪急電鉄によると、過去に鉄道ファンがホーム柵から身を乗り出して撮影し、ホームドアのセンサーが作動して列車の出発が遅れた事例があったという。とりわけ、特別列車の出発式では大勢のファンが集まるため、駅係員によるホーム上での警戒や、注意の呼び掛けを強化しているという。
地域住民とのトラブルを回避するため、自治体が専用の撮影スペースを設置する事例も出てきている。
島根県津和野町にある有名な撮影地「本門前踏切」には、JR山口線の観光列車「DLやまぐち号」や「SLやまぐち号」を撮影しようと、全国から多くの鉄道ファンが訪れる。
しかし、去年以降、近隣住民から「私有地に入られた」「田畑を荒らされた」などといった苦情が相次いだ。車道に三脚や脚立がはみ出すなど、住民生活にも支障が出る中、JR駅係員や町職員が現場に赴いて警備にあたるなどしていたといい、トラブル解消に向け、町は住民と話し合いを続けてきた。
そんな中、「専用の撮影スペースを設置するのはどうか」と住民から提案が挙がった。町は本門前踏切に隣接する休耕田約170平方メートルを地権者から無償で借り受け、専用の撮影スポットとして今年3月から無料で開放。23年3月まで設置し、効果を測るという。
津和野町商工観光課の堀重樹課長は「多くの鉄道ファンが町に来てくれるのは観光促進にもつながり大歓迎だが、迷惑行為は良くない、というのが地域住民の思い」だと話す。
当初、撮影スペースを有料にする案も検討したが、その場合は、段差を設けるなどして撮影に適した環境に整備するための初期投資を行う必要があったといい、「そこまでの用意はできなかった」と堀課長は話す。
一方で、町としては多くの鉄道ファンが町を訪れることで経済効果を波及させたいとの思いもあるといい、「ゆくゆくは収益化につなげられないか検討していきたい」と堀課長は説明する。
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