――ダンスを演出と捉える制作の論理と、経営の論理は必ずしも一致するわけではないと思います。考えが異なってきたとき、トップとして、いかに差配をしていくのですか?
経営とは「絶妙のバランスをとること」だと思っています。制作側はお金がかかってでも、「いいものを作りたい」と思います。一方で経営側は「それでは事業は成り立たない」とまず考えるでしょう。
経営サイドは事業として成功させ、継続させられる利益を生む体質にすることを考えます。一方、スポンサーは自分たちの商品がどれだけ浸透しているのかを、「データをもって説明してほしい」と考えるわけです。
それぞれの立場から見たときに、ぎりぎりのところで折り合えるかを探し、決断していくのです。そのためには、制作側やアーティストに時間をかけながら説明し、理解してもらうことが大事です。異なるバックグラウンドの人たちを1つの方向に導くのが経営なのです。
――王者を決めるチャンピオンシップでは、それまでレギュラーシーズンの勝者だった「SEGA SAMMY LUX(セガサミー ルクス)」が勝てませんでした。ある種の下剋上が発生したという意味で、スポーツらしさを感じました。先ほど、採点方法を熟慮した話もありましたが、オーディエンスの採点を取り入れたことについては、どう感じていますか。
アーティスティックスイミングやフィギュアスケート、最近では空手の型のような採点競技をイメージしています。
だからダンスの技術を評価してくれるプロのダンサージャッジに加え、安藤美姫さんのようにダンスに精通にしていて、かつ他ジャンルでも活躍している、エンターテインメントジャッジの両方を入れました。オーディエンスの採点は「単なる人気投票」と言う人もいますが、それを含めてダンス業界に必要だと考え取り入れました。
楽しく、愉快なダンスをする「avex ROYALBRATS」、男としての力強さを出す「FULLCAST RAISERZ」、アイドル寄りだけれど、かわいらしさや美しさを表現する「USEN-NEXT I’moon」など、ダンスのチームカラーを出すのも大きな要素として取り入れました。
米国、フランス、日本がダンス大国なんですが、米国は1対1に強く、日本人は団体競技に強いのです。8人が長い時間、相手と協調しながら踊るのは「合わせよう」という気持ちがないとなかなか合いません。日本はその辺りで優れています。
チームにインタビューをすると、週5日、1日8時間ほど練習しているチームが多く、その後も個人練習をしています。1つの目標に向かって頑張れる気質を、米国やフランスのダンサーより持っていると思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング