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EXILE HIROが後押し プロダンスリーグ「D.LEAGUE」トップが描く展望と戦略フルキャストHD創業者(4/5 ページ)

» 2022年09月04日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

スポンサーは1業種1社

――ダンスの歴史を考えると、盆踊りも自己表現であり、その土地の文化に根付いたものです。時代が経過して、ネットが広まり、自己表現、承認欲求の時代ともなりました。ダンスはそういう時代にうまくハマったといえるのでしょうか?

 12年に学校で必修化され、その1期生が大体25歳くらいで、社会で影響力を持ち始めています。ダンスが日常の中に入り始めた世代が中心となり、そこから下の世代はわれわれの世代のように、「ダンスはちょっと悪い人がやっているんじゃない?」ではなく「まじめで、頑張る人がダンスをやる」ものなのです。

 昔はテニスサークルが人気でしたが、今はダンスサークルが圧倒的に人気なんです。履歴書にも趣味はダンスと書いてくる人が、私の感覚では3人に1人くらいいる気がしています。そういう世代が中心になってきています。

 いろんな動画コンテンツがありますが、その中でもSNSを使いこなせる人たちがダンスに取り組んでいる状況だと思います。ダンスを広めるツールとしてYouTubeやTikTok、Instagramがたまたまあったというのが正しい見方なんでしょう。

photo SEGA SAMMY LUX

――必修化というのは相当大きかったということですか?

 大きかったですね。私の世代だと柔道や剣道でした。それがダンスに置き換わっていますから。

photo dip BATTLES
photo SEPTENI RAPTURES

――野球もJリーグもファンが高齢化しています。ビジネスの観点からも、若い人をターゲットにしていきたかったのですか?

 もちろん、そういう狙いもあります。10代、20代にリーチできる数少ないスポーツだと思っていまして、もう1つあげるなら「eスポーツ」だと思っています。

 Jリーグも始まってから30年がたち、当時に見ていた10代の人たちがそのまま30〜40代にスライドしています。ですから、若い人たちに届くメジャーコンテンツはなかなかない状況なのです。

 例えばスポンサーの第一生命さまは、いかにして若い世代にリーチするかが課題の一つでした。そこでDリーグは若い人が会場に足を運び、多くの人が配信も見るなどリーチできる格好のコンテンツだと伝えたのです。

 Dリーグを通じて知名度を上げ、名前を覚えてもらう。会場にブースを出してもらって、どんな会社なのか、どんな商品を売っているのかを伝える。それには、Dリーグがうってつけのコンテンツだと思います。

――第一生命の名前を見たときは、正直、驚きました。

 1業種1社という形でやりました。若い人たちはあまり生命保険に入らないようです。年金を含め将来に不安があって「保険に入って意味があるの?」と考える世代なのです。保険の加入率が低い10〜20代にリーチしたいということで、スポンサーとして応援してもらえることになりました。

photo KADOKAWA DREAMS
photo USEN-NEXT I’moon

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