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部下がどんどん「指示待ち人間」に──絶対にしてはいけないマネジメント法マネジャーのお悩み相談室(2/3 ページ)

» 2022年09月12日 07時00分 公開

指示待ち人間であふれることの弊害

 指示待ち人間であふれてしまうとどのような弊害があるのでしょうか?

 まず1つ目は、相談者の方が悩まれているようにチームのスピードが格段に落ちます。何かお願いしたいときに都度細かい指示をしなければならないわけですから、マネジャーの時間がかかります。メンバーもマネジャーから次の指示があるまで動けないわけですから、チームとしての動きはかなり遅くなります。

 2つ目は、マネジャーのストレスです。指示をしないと動けないメンバーに囲まれたマネジャーは次第にイライラしてきます。このような状態はマネジャー自身にとってもよくないですし、メンバーにマネジャーのイライラが伝わればメンバーのやる気も削がれます。マネジャーのストレスに端を発し、チーム全体を士気を下げてしまうのです。

 3つ目はメンバーの離散です。次の指示があるまで動けないような状態は、当然メンバーにとってやりがいあふれる状態とは言いがたいでしょう。メンバーは成長実感を感じることができず、離職などでチームを離れていきます。

 このように、指示待ち人間であふれると多くの弊害があります。

メンバーの「指示待ち人間化」による3つの弊害(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

メンバーが自発的に動くためには 

 「指示待ち人間」というのは、指示を待つメンバー側を揶揄(やゆ)して生まれた言葉なのでしょう。しかし、メンバーを揶揄する前に、マネジャーの皆さんに「自分はどういう指示をしているのだろうか」ということを振り返ってほしいと思います。

 以下の図をご覧ください。

筆者作成

 1つ目の指示「新規事業を作りたい。飲食店のレジがデジタル化されて、計算も全てタブレットでできるサービスのTOP画面イメージを作成してきて」だと、指示が具体的すぎて、メンバーが自分で考える余地がありません。

 この抽象度で指示をされてはメンバーはその通りにやらざるを得ません。メンバーがその通りにやらざるを得ない指示を繰り返すうちに「指示をし続けるマネジャー」と「指示を受け続けるメンバー」が生まれます。

 2つ目の指示「新規事業何か考えてよ」だと、ざっくりしすぎています。これだけではメンバーは動けません。動かないメンバー、質問を繰り返すメンバーをみて「指示待ちだな」とマネジャーは思うでしょう。

 指示は具体的すぎても抽象的すぎてもダメで、「程よい抽象度」で設定することがポイントになります。

 この例では、「飲食店向けの業務支援ツールの分野で新規事業を企画してみて」といった程度の指示だと、メンバーは自発的に調べ事をし、アイデアを考え、企画を練ることができます。また、企画を考えた後も、自分で考えた企画なので自走しやすくなります。

 「あいつは指示待ち人間だ」と嘆く前に、自分がどんな指示をしているのかを振り返ると良いでしょう。具体的すぎても、抽象的すぎても、指示待ち人間を生んでしまいます。

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