スマートウォッチ市場が低価格モデルに引っ張られている中、新製品を投入するとなると、より高い付加価値のある高級モデルが残る手段といえるだろう。
今回、アップルが新たに追加した「Apple Watch Ultra」には「冒険の時間です。」というキャッチコピーが付いており、雪山登山やスキューバダイビング、トライアスロンといったよりハードなアクティビティに対応。従来シリーズのApple Watchが5万円台から購入できたのに対して、約12万円と倍以上の価格だが、この高付加価値カテゴリーではそれでも安いと好意的に受け取られているようだ。
雪山登山などハードな環境での使用を想定した「Apple Watch Ultra」。2種類の衛星信号を受信することでより高精度に測位可能な高精度の2周波GPSを搭載し、元の位置などの指定地点に正しく戻るルートを表示するバックトレース機能なども備える。実際、高付加価値のスマートウォッチ市場にはもっと高価なモデルが多い。その市場で圧倒的な強さを誇るのがガーミンだ。ランニング向けから本格派のシリアスランナー向け、サイクリングやマリンスポーツ向けなど、さまざまなスポーツに対応したGPSウォッチを取り揃えており、プロのアスリートから絶大な支持を集めている。ラインアップには10万円を超えるモデルが数多くあり、今回アップルは「Apple Watch Ultra」でその市場に参入したというわけだ。
22年4月に発売されたガーミンのフラグシップモデル「tactix 7 PRO Sapphire Dual Power」(価格17万500円)。マルチスポーツ対応に加えて、落下速度や高度などを表示する航空機能などを搭載。ソーラー充電にも対応する(出典:ガーミン、tactix 7 Pro Sapphire Dual Power)しかし、ガーミンの壁は厚い。アップルは「Apple Watch Ultra」でバッテリー駆動時間を約36時間と倍に延ばしたが(低電力モードなら約60時間)、それでもまだ短い。対するガーミンは、ソーラー充電を組み合わせることで、最も電池を消費するモードで約41時間、バッテリーを節約するモードであれば、約1年3カ月の稼働が可能なのだ。
また、ガーミンはスポーツ別に多くのラインアップを用意、よりきめ細かな測定や記録ができる。アップルは、1モデルで多くの本格的アクティビティに対応しなければならないのが現状で、アクティビティごとのラインアップを揃えたりり、アプリを用意するには、まだしばらく時間がかかるだろう。
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