「あなたは保険に入る必要はありません」のマネフォの保険はどう進化してきたのか?金融ディスラプション(3/4 ページ)

» 2022年09月13日 16時30分 公開
[斎藤健二ITmedia]

合理的な保険料と気持ちに寄り添う保険料

 徹底して、いかに不要な保険料を支払わずに済むか? という視点で提案を行ってきたマネーフォワードだが、合理的に考えた結果が最良の結果とはならないのが保険の世界でもある。

 例えば当初の保険診断では、亡くなった後、配偶者が生活を立て直せるまでの数年間をカバーできる保障額をデフォルトとしていた。配偶者が亡くなったからといって、その後ずっと保険だけで暮らしていくという人は珍しく、何かしら職を探すものだからだ。その分だけ保障額は小さくなり、「保険は不要です」という人が多くなることにもつながっていた。

 ところが実際の保険加入シーンにおいては、もっと潤沢な保障を求めるのがユーザーのニーズだったという。「そんなに保障が必要ない家計でも、配偶者に聞くと『あなたが死ぬと私は路頭に迷うから、保障額の小さい保険はやめて』とか、さすがに『子供が大学を出るまでは保険で見てあげたい』というニーズが高かった。最小限の保障額というニーズよりも圧倒的に多く、ユーザーニーズが見えていなかった」(志賀俊一部長)

ニーズ把握にともない、現在では「配偶者が生活を立て直すまで」という選択肢はなくなっている

 また、現在の保険診断では配偶者の給与を入れる欄も設けており、これは保険のシミュレーションとしては珍しい。それでも「ダブルワークであっても、保険については分けて考えたいというニーズが高い」(西氏)というのが実情だ。

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