「顧客」や「消費者」という優位的な立場を振りかざして、企業などに理不尽な要求をする「カスハラ」(カスタマーハラスメント)が増えている。
交通・運輸・観光などの産業で働く約60万人が加盟する全日本交通運輸産業労働組合協議会(以下、交運労協)が2021年5〜8月に全国の公共交通機関、物流、観光産業の現場で働く2万908人を対象に調査したところ、直近2年以内に「カスハラ」が増加していると感じると回答した人は57.1%にも及んだ。
その中でも特に増えた実感があったのは「航空」(69.1%)と「バス」(63.8%)だったのだが、これはカスハラの最新トレンドがよく反映されている。最近のモンスタークレーマーは企業をネチネチとイジめるだけでは飽き足らず、自治体や医療機関、交通機関などの「公共サービス」もターゲットにするケースが増えているからだ。
全日本自治団体労働組合(自治労)が20年に全国の自治体や病院職員ら約1万4000人を対象に過去3年間にカスハラを受けたか調べたところ、「日常的に受けている」「時々受けている」「自分はないが職場で受けている人がいる」を合わせて76.0%にのぼった。内容は「暴言や説教」(63.0%)が最も多いという。
9月17日、東京都内のある区役所に勤務するTwitterユーザーが、「職員がミニストップの前でソフトクリームを食べてます」というクレームがあったことをツイートして大きな話題になったが、「国民」や「市民」という立場を振りかざせば、役所や病院など公的機関に理不尽な要求をしても許される、と考えている日本人がかなりいるのだ。(関連記事)
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