ハワイの不動産が売れに売れている――。取材した不動産会社の2021年の日本人のハワイ不動産取引件数は20年に比べて約2倍。円安が言われる現在でもその勢いは衰えていない。活況の背景を聞いた。
日本国内でも不動産投資に熱い視線が寄せられている。経済や社会の先行きに不安を抱く人が増え、早期リタイアが話題になる中、安定的な資産、本業とは別の財布を持ちたいと考えるのは無理もない話だ。
だが、「ハワイへの投資はそうした国内での動きとは少し違う」と話すのは、現地で不動産の売買などを手掛けるリストサザビーズインターナショナルリアルティ(横浜市)の青木貫太郎氏。ハワイ不動産の購入者には長期保有を考えている人が多く、ドル通貨への資産分散という観点も共通しているという。円建てだけでなくドル建てでも資産を持っておきたい、そのための一手としてハワイの不動産があるというのだ。
「実際の購入動機は別荘として引退後を豊かに暮らしたい、いずれ賃貸、売却など広い意味で投資のつもりで……とさまざまですが、共通するのはドル通貨への資産分散という観点です。円建てではなく、ドル建てで資産を持っておき、その価格が長期的になだらかに上がっていくのを期待、状況に応じて自分で使ったり、貸したりしようというもので、安定した、目減りしない、楽しめる資産としてハワイ不動産を見ていらっしゃるようです」(青木氏)
コロナ禍で増えた金融資産の行先として都心を中心に高額不動産が動いているが、ハワイ不動産も流れとしては共通するものがある。だが、都心不動産の場合には長期保有というより収支重視、価格の変動によっては早期売却と出口を考えている人も多く、投資の意味合いが強い。それに比べるとハワイ不動産は長期的な資産形成、資産分散という観点で買われているというのだ。
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