円安なのに、ハワイの不動産が激売れしているワケ現地を見ずに買う人も(5/5 ページ)

» 2022年09月21日 06時30分 公開
[中川寛子ITmedia]
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ハワイなら万人が楽しめる

 もうひとつ、日本人にとってハワイはなじみのある場所という点もある。購入者の大半はこれまでにハワイを訪れており、中には何度も定期的に訪れているなどで非常に詳しい人、住所だけでどんな場所かが分かるという人も。だから現地に行かなくても購入を決断できるのである。

ハワイ (画像提供:リストサザビーズインターナショナルリアルティ)

 日本から約6時間。東南アジアよりは遠いが米国本土に比べればはるかに近い。いろいろな楽しみ方ができ、日本人フレンドリーな土地柄で日本語が通じる施設なども少なくないなど、ハワイは日本人には行きやすく、楽しい場所。食事その他に特徴があり、好き嫌いが別れることもある東南アジアに比べると万人向けともいえる。

 そうしたさまざまな要因から21年以降は驚くほど購入問い合わせが寄せられ、その状況は今も続いている。円安はさほど障壁となっておらず、逆に今後、より資産分散を進めたいと考えている人が増えているとか。今後、渡航がこれまで以上に容易になれば売れ行きには拍車がかかりそうでもある。

 最後に価格の話を。21年の購入額は平均で1億5000万円くらいというが、7000万〜3億5000万円と幅は広い。前述したハワイ不動産協会のWebサイトで見ると22年7月に販売されたコンドミニアムの中央値は50万ドル、22年9月7日現在で7200万円ほどである。

 現状では8〜9割の人がキャッシュで購入しているが、日本の金融機関でもハワイ不動産を担保に融資するところが出てきている。半分を自己資金で、残りをローンでということも可能とか。また、新築であればとりあえずは手付金だけが必要で、残金は3〜4年後。まとまった資金がある人なら検討の余地はあるかもしれない。

著者プロフィール

中川寛子(なかがわ ひろこ/東京情報堂代表)

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。路線価図で街歩き主宰。

40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくりその他まちをテーマにした取材、原稿が多い。

主な著書に「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版社)など。宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。


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