攻める総務

テレワーク時代でもオフィスはいる、4つの理由必要か不要か(6/6 ページ)

» 2022年09月22日 08時00分 公開
[秋沢崇夫ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5|6       

テレワーク時代のオフィス活用事例

 オフィスという場所を企業理念や経営戦略を発信するためのブランディングに活用することもできる。

 2014年に在宅勤務制度を導入していたカルビーでは、21年に本社をリニューアル。「作物が実る畑のように、アイデアが生まれるオフィスにしたい」とのコンセプトで、コミュニケーションを重視した空間をつくり出した。(参照リンク

21年、カルビーがオフィスをリニューアル(出典:カルビー)

 また、畑をイメージしたエントランス、ジャガイモのようなイラストが描かれた天井、会議室にはそれぞれ自社の商品名があてられるなど、至るところでカルビーらしさの感じられる空間になっている。コロナ禍より、オフィス勤務者のテレワークを原則とするなどニューノーマルな働き方を推進してきた同社において、社員自らが足を運びたいと思わせる空間をつくり出したことで、社員のモチベーション、エンゲージメント向上にもつながっていくだろう。

 リクルートでも新オフィスを設け、一部移転プロジェクトが始まった。新オフィスには、緑を借景としたリラックススペースや、オフィス周辺のおすすめランニングコースが壁一面に描かれている空間など、業務以外のスペースも豊富に取り入れられている。在宅勤務では得られない価値をオフィスで実現している例である。(参照リンク

オフィスで広がる可能性

 テレワークによって生産性が大きく上がった人もいれば、オフィスで仕事をすることの利点に気付いた人もいるだろう。いずれにしても、さまざまな事情やバックグラウンドを持つ社員一人ひとりが、働きやすい環境をつくることが大切だ。そのためにも、個人的にはオフィスは必要だと感じている。

 これからのオフィスは、社員自身が自らの意志で「出社したい!」と思えるような空間であることが今以上に求められるだろう。集まる目的を定め、効率的・効果的に業務パフォーマンスを上げる設計をすることも重要だ。

 オフィスデザインを自社のブランディングツールとして活用したり、ショールームのような存在としてPR効果を図ったり。かつては「ただ働くための場所」であったオフィスは、その意義を変えながらも、多くの可能性を秘めた場所になりつつあると感じている。

著者プロフィール:秋沢崇夫

 1981年東京都生まれ。青山学院大学卒業。

 2004年株式会社ガイアックスに入社し、営業、事業開発に関わり営業部長に。32歳で退職後、一人旅の最中にリモートワークを経験。「このスタイルであれば場所や時間に捉われることなく自分らしい生活を実現できる」と実感し、さまざまな働き方や生き方の選択肢があってもいいのではないかと考えるように。帰国後「多くの人の働く選択肢を増やしたい」との思いから「HELP YOU」 を立ち上げる。


前のページへ 1|2|3|4|5|6       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.