インボイス制度で声優の2割が廃業も? インボイス反対のVOICTION甲斐田裕子氏に聞く(3/3 ページ)

» 2022年09月26日 13時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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ーーインボイス制度は、売り上げ1000万未満は免税事業者になることができ、消費税を収めなくてよいという益税問題の解消という側面があるといわれます。

甲斐田 私も最初は「益税問題」というものがあるのだと思って調べてみました。でも実際は益税というものは存在していません。そもそも消費税を含めた価格が本体価格です。売り手がいくらの値付けをしようと、その11分の1を収めるのが消費税。免税事業者はそれを免除されているだけです。しかし免税を理由に値引きされ価格転嫁できていない業界も多いんです。消費税は価格に転嫁できて初めてはじめて間接税として機能します。転嫁できなければただの重い直接税です。

 国にとって都合のいい、集めやすい税金をどうしても導入したかった。そのために譲歩してきた部分(※免税事業者の設定)が歪みとなり、導入から30年の間にそれありきの取引が行われ、さらに歪みました。いびつになった消費税を、見た目だけきれいにするために、臭いものには蓋をしようとしたのが今回のインボイス制度だとしか思えません。

ーー活動の成果として、どんなことを目指していますか。

甲斐田 議員の方々とお話すると、「23年10月の制度スタートは動かせないが、どこに妥協点を持ってくるかを話し合いたい」と言われます。でも日本の文化を守るために今必要なのは、消費税減税や廃止であり、インボイス制度をなくすこと自体が妥協点だと思っています。まだ動いていないインボイス制度を止めるのが最大の譲歩です。

 野党の議員は戦ってくれる気が満々です。ただし国会が開かれません。国会前に、自民党と財務省の間で議論が行われるので、そこに影響を与えたいと思い、自民党の議員に意見を伝えたかったのですが、真正面から行っても会えないのが自民党議員。本当に国民の声を聞く気はないんだなと。

 少なくとも、実施を延期にできれば、その間に選挙があるので、廃止につなげられるかもしれません。

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