変革の財務経理

インボイスネットワークに勝機 Sansanが請求書管理Bill Oneで目指す戦略とは(1/4 ページ)

» 2022年08月02日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 インボイス制度に対応した各社SaaSの動きが活発化している。企業の商取引において、2023年の秋から年末は変化が目白押しだ。10月にインボイス制度が始まったあと、年末には電子帳簿保存法の2年間の猶予が切れる。

 インボイス制度では、消費税分を控除するために適格請求書のやり取りが必要なだけでなく、送り側、受け取り側ともに証憑(しょうひょう)の保管が必要だ。これに電子帳簿保存法が組み合わさると、請求書の発行、受領、そして経費精算の際のレシートや領収書まで、電子化管理のニーズが非常に高まる。

 これを勝機と見て、各社がインボイス制度に対応した請求書受領サービスを推し進めている。そこには会計SaaSを中心としたマネーフォワードやfreeeはもちろん、新興のTOKIUMやバクラクブランドで展開するLayerXなど数多い。そして、名刺管理サービスを主軸としてきたSansanも、Bill Oneというサービス名で新規参入した1社だ。

受け取る請求書(インボイス)の種類によらず、全てデータ化する請求書受領サービスBill One

 Bill Oneは20年5月にサービスを開始し、2年間でARR14億円まで成長した(記事参照)。有料契約件数は853件、平均単価も13万7000円に増加している。

Bill OneのARRは2年で14億円に成長。Sansanの次の柱を目指し成長を続けている(Sansan決算資料より)

 しかし、単なるARR成長ではない部分にSansanらしい点がある。それが、同社が「インボイスネットワーク」と呼ぶものだ。

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