#SHIFT

全役員を降格、従業員に「楽するな」と喝 がけっぷち百貨店を救った“伝説の男”に学ぶ従業員エンゲージメント(5/5 ページ)

» 2022年09月26日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

2050年に必要な能力

 経産省の「未来人材ビジョン」というレポートの中で2050年に必要な能力という提言があります。

2050年に必要な能力(出所:経産省「未来人材ビジョン」)

 同レポートによると、2050年に必要になる能力は「問題発見力」「的確な予測」「革新性」「的確な決定」です。

 対比されている15年に必要とされていた能力が「注意深さ・ミスがないこと」「責任感・まじめさ」「信頼感・誠実さ」「基本機能(読み・書き・計算)」だったことから考えると、全く異なる能力が求められることになります。

 これまでとは全く違う能力を発揮しないと、未来において必要な人材にはなりえないと同レポートでは書いています。

 会社というのは「人」で決まります。企業が社員を「人的資本」と捉えて適切に対処をしているか、投資家が判断できるようにする取り組みがこれから本格的に始まります。その一部については23年度から有価証券報告書にも記載を義務付けるようになります。

 人的資本を可視化させ、企業に開示を促すことで、会社にとっての社員の価値を社内外に再認識させることが求められます。

 人はコストという時代から、人こそが価値であるという当たり前のことが社会に再認識され、社員への教育投資、スキル教育なども盛んになっていくことでしょう。

 そのためには、和田氏のような社員の底力を発揮させる本気のマネジメントが必要であり、常に会社のことを自分事として捉えるような主体性の発揮が大切になってきます。

 会社をマニュアル通りにまわすのは単なる運営です。

 経営とは、経営者の意志をもとに運営し、社内の一体化を生み出すことです。

 従業員エンゲージメントを高めるために、社員の主体性を引き出すマネジメントを心がけ、2050年に必要とされる会社へと変革していきましょう。

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント

 1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。

岩崎剛幸の変転自在の仕事術


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.