2つ目の事例は「女子会」をきっかけにしたものだ。被害者B(以下B)は22年1月、SNSを通じて知り合った勧誘者X(以下X)に、飲食店で複数人で食事中、口頭で「女子会をしよう」などと誘いを受けた。
メッセージアプリでXらは後日Bに「昨日は楽しかったー・ご飯会いつしよ〜」「明日楽しみにしてます〜」「●●駅で待ち合わせしましょか〜」「会えるの楽しみにしてます〜」などとメッセージを送信し、「女子会」と称する食事会に誘った。
食事会当日、Bは指定された駅でXと合流し、徒歩でマンションの一室に向かったという。マンション内での食事会には、Xの他に勧誘者W(以下W)を含む複数の会員が参加していた。食事会は、午後8時30分ごろに開始されたが、この時点で、XとWは、Bに対し、勧誘目的であることを告げていなかった。
食事が済んだ頃、Xは、Bにアムウェイのハンドクリームを手渡し「このハンドクリームはいいよ。使ってみて」と告げるとともに、この食事会の以前にXがBに渡していたアムウェイ商品について「以前にあげたお土産は使っているか」などと尋ねた。
Bが「使用していない」と返答すると、Wは突然アムウェイについての説明を開始。Bに「アムウェイのことを嫌がる人は多いけど、商品はいい」「アムウェイはクリスマス会、演奏会、美容の勉強会などのイベントも行っている」などと告げ、食事会に参加していた他の会員に対し「去年の動画あるか」などと指示。他の会員のスマホを用いて、同社のイベントの動画をBに見せるなどした。
続けてXは、後日予定されていた2回のアムウェイ勉強会に参加するようBを勧誘。Bは、アムウェイ会員が住むマンションの一室という密室の中で、複数の会員に囲まれていたことから「これを断れるような状況ではない」と考え、勉強会への参加を承諾したという。
SNS経由で女子会に勧誘し、アムウェイ会員が住むマンションに移動。アムウェイの名前を伏せ、複数の会員が集まる密室の部屋で帰れない雰囲気を醸しだし、強引に勧誘したことが問題視された。このケースでは、消費者庁が指摘した(1)に該当した。
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