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「空気が読めない」社員が、ADHDだった──どうしたらいい? 発達障害・パーソナリティ障害・精神疾患の人への接し方トラブルが起きた際には(2/7 ページ)

» 2022年10月19日 05時30分 公開
[企業実務]

(1)自閉症スペクトラム(ASD)

 自閉症スペクトラム(ASD)の症状は、主に対人コミュニケーションの問題と、こだわりの強さに現われます。

 対人関係では、状況に適した言動や感情表出が苦手で、文脈をつかめなかったり、冗談が通じなかったりと、会話がスムーズに展開していきません。相手の立場から物事を考えたり、いわゆる「空気を読む」ことが苦手で、対人距離も近過ぎたり、遠過ぎたり、一方的な印象を受けます。

 また、同じ行動パターンを好み、柔軟性に欠けた行動や感覚過敏を持ち合わせています。

(2)注意欠如・多動症(ADHD)

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 注意欠如・多動症(ADHD)には、不注意さ(ミスが多く忘れっぽい)と、多動性(落ち着きのなさ)、衝動性(考えるよりも先に行動してしまう)という3つの特性があります。そのため、やりたい気持ちを抑えて意思をコントロールするのが苦手、長期的で大きい報酬よりも小さくても短期的な報酬を選ぶ、時間の管理がうまくできない、といった傾向があります。

 こうした特性から、1つの仕事に集中できず、先送りしてしまう、いろいろな仕事に手をつけ、結局どれも中途半端で完遂できないといったことが生じます。

 また、対人関係では、つい余計なことを言ってしまったり、感情をコントロールできなかったりするために、トラブルが起きやすくなります。

(3)限局性学習症(LD)

 限局性学習症(LD)の人は、知的能力には問題はないけれども、読む・書く・計算するなどの学習能力のいずれかに困難さを持っています。

 例えば、書字障害があると、書く作業に時間がかかり、話の内容を聞き漏らしてしまう、といったことが起きます。

 書字障害の人に限らず、発達障害の人の職場で苦労することの代表例として、メモがあります。メモを取るためには、耳からの情報を一時的に記憶し、大切な部分を記憶から抜き出して書き起こす作業が必要です。簡単なように思えますが、発達障害の人が実行するには、難しさがあります(表1)。

photo 表1

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