#SHIFT

「空気が読めない」社員が、ADHDだった──どうしたらいい? 発達障害・パーソナリティ障害・精神疾患の人への接し方トラブルが起きた際には(4/7 ページ)

» 2022年10月19日 05時30分 公開
[企業実務]

【1】妄想性パーソナリティ(A:奇妙で風変わりな群)

【事例】疑い深い部下

 税金や社会保険の手続きのために、個人情報の提出を求めると、「僕の個人情報をどうするつもりですか」と言って提出してくれません。

 この他、業務上必要な注意・指導をすると「僕のことが気に入らないから引きずり落とそうとしているんだ」と非を認めません。しまいには、「ハラスメントだ、訴えてやる」と過剰反応するため、対応に困ります。日常的な会話に当人の名前が挙がっただけで、「悪口を言われている」と、被害妄想的な様子も見られます。

(1)妄想性パーソナリティの特性

 妄想性パーソナリティの特性非常に疑い深く、自分以外は信じられません。常に心の底で、「自分は陥れられるのではないか」といった恐怖心を抱いています。

 「頑張っているね」の一言であっても「もっと頑張らないとクビということか」と極端な解釈をし、攻撃的になることがあります。

 「他人は自分を傷つけ、攻撃するのではないか」という猜疑(さいぎ)心の強さは、本人の過敏な気質に、否定されることの多い環境が重なった結果と考えられています。

(2)妄想性パーソナリティの人への対処法

 被害妄想はあるものの、物事を現実的に捉えることはでき、法律や決まりごとをよりにどころする特性があります。

 必要な書類の提出などは、社内規則にのっとっていると伝え、提出しなかった場合に伴うリスクなどを説明するとよいでしょう。

 また、周囲との摩擦を起こしやすいため、実際に陰口や仲間外れの対象にされることもあります。「考え過ぎ」「その考えはおかしい」と決めつけた態度で接することは控えましょう。首尾一貫した態度に安心感を抱くので、距離感を保ちながら、客観的な事実を確認していきます。

© 企業実務