テスラのジレンマは世界のジレンマフィデリティ・グローバル・ビュー(3/3 ページ)

» 2022年11月11日 08時00分 公開
[Daniela Jaramillo 他, フィデリティ・インターナショナル]
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ネット・ゼロに必要な業界全体の取り組み

 新しい鉱山の場合、幅広いステークホルダーに影響するプロジェクトの経済的利益、脱炭素の面から見た利益の両方のバランスを取るために、投資家は行政、企業それぞれの施策に対して意見することができます。脱炭素化がすべて短期的に見て経済的に理にかなうとは限らないため、財政、法律の面で政府の支援を求める必要があるかもしれません。二酸化炭素の排出量削減が困難ないくつかの分野では、グローバルなカーボンプライシング(注)なしに目標に到達することは難しいでしょう。

(注):大気中の温室効果ガス削減を奨励するために、企業などが排出する炭素に対して適用される費用。この費用は、炭素税、または「キャップ・アンド・トレード」を通じて排出権を購入するといった形で課せられる。

 鉱業分野のイメージを向上させ、先々でより多くの適切なプロジェクトを実行するためには直感的でない行動が求められるかもしれません。ある鉱業会社で環境面、安全面での不祥事が発生すれば同業者にも影響が広がるため、ベストプラクティスを見つけ出した大規模な鉱業会社は、より小さい競合他社とその知見を分け合うことで利益を得られるかもしれません。ここで重要なのは、鉱業会社が特定の地域内で得た社会的なライセンスでなく、グローバルに操業するための業界全体のライセンスです。それなくしてネット・ゼロの目標には到達しないでしょう。

(この記事は2022年9月27日に掲載された英文記事をフィデリティ投信が翻訳・編集したものです)

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