KDDIはStarlinkを3つの用途で利用するという。1つは基地局のバックホールとしての利用だ。一般的に基地局と拠点の施設は光ファイバーで繋ぐが、山間部など光回線を手配できない場所にStarlinkを使うことで、今まで電波が届かなかったような場所にもauのエリアを広げていく。
2つ目に、法人企業や自治体向けに「Starlink Business」として提供する。KDDIは、世界で4社目、国内では唯一のStarlink認定インテグレーターに選定され、Starlink Businessでは回線やアンテナの設置・導入支援を行うほか、構内LANを一緒に構築するなどの通信の総合提案、クラウド、セキュリティなどをStarlinkに組み合わせて提案するという。カスタマーサポートもパッケージとして提供していきたいとしている。
基地局バックホールとしての利用とStarlink Businessは今年、2022年中に開始予定だ。なお、Starlink Businessの利用料はまだ公表されていない。
Starlinkは将来的にスマートフォンと直接通信できるようになるという。これが3つ目の活用方法だ。スマホとの直接通信は8月にアメリカで発表されたが、こちらはスマホに搭載できるアンテナの大きさに限界があるので低速の回線になる模様だ。また、スマートフォンの周波数をそのまま衛星に使うことになるので、提供する場合は制度面も整っている必要がある。
Starlinkを基地局バックホールとして使ったり、Starlink Businessが広がったりすることで、今まで電波が入りにくかったところもモバイル通信の圏内になるため、さまざまな課題解決が期待できる。すでに建設業界やインフラ事業者からの問い合わせがあるという。
もちろん、災害時に避難所などでも活用できる。企業や自治体のBCP(事業継続計画)対策としては、山間部や離島だけでなく、都市部でも需要がありそうだ。病院など公共サービスでバックアップ回線としての利用も考えられる。松田氏は、山小屋での利用を山岳会などに提案していることも紹介した。
日本の海上はまだエリア外だが、総務省と協議を進めて早期に提供するとしている。また、現在は衛星とユーザーの端末、地上局が同じカバーエリアの中に入っていないと通信できないが、衛星同士が通信するようになるとエリアがより広がり、地上局がない海上もエリア化されていくという。
アジアでStarlinkのサービスが提供されるのは日本が初めてとなる。山や島が多く光ケーブルを敷設しにくい場所が多い日本は、衛星通信サービス導入のロールモデルになる。松田氏は「先駆者としてしっかり役割を担っていきたい」と意気込んでいた。
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。
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