また、同駅はバスのターミナルともなっており、東急バスを中心として各方面に向かう路線を運行している。田園都市線沿線では、住宅街が大きく広がっているため、各方面へのバス便は必要不可欠なものとなっている。
商業施設のために、駅名まで変えた事例もある。南町田グランベリーパークだ。76年に開業し、当時は「南町田」という駅名を名乗っていた。この地域が再開発されるにあたり、「南町田グランベリーパーク」という商業施設ができたため、2019年に駅名をそれに合わせて変えた。
ただし、このような鉄道会社主導のまちづくりは、自然発生的なものでないことから、設計主義的なものを感じる人もいた。東急田園都市線沿線はこうした豊かな消費社会に惹かれる人が集まる一方、そのあたりに違和感がある人もいるのだろう。
東急グループ主導で戦略的に地域をつくっていったことで多摩田園都市は大成功を収めた。いや、成功しすぎたともいえる。
現在、多摩田園都市では高齢化が課題となっている。郊外のまちづくりに関しては、12年に東急と横浜市が包括協定を結び、「次世代まちづくり WISE CITY」プロジェクトを東急が中心となって担い、デマンドバスなどの実証実験を続けた。また郊外バス便地域の住民を対象に駅近くにマンションを建設、販売も手掛けている。
しかしこれ「だけ」が、本当に東急の戦略なのだろうか? 企業主導のビジネスモデルしか東急にはないのか? 地域との共存共栄で、東急が地域に寄り添うことはできないのか。
実は「もう1つの東急」が存在する。東急池上線である。
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