「沼に足を取られたように、なかなかスランプから抜け出せない」「考えすぎてつらい……」。そんな時、どのように対応すべきなのだろうか。仕事上で起きがちな事例を基に、“沼”から抜けだすヒントを考えてみたい。
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怒りは、生きていれば誰もが抱く自然な感情だ。しかし、適切なコントロールができずに爆発させてしまえば、大きな失敗を招くことになる。日本アンガーマネジメント協会の認定講師で、アンガーマネジメントコンサルタントの川田裕輔さんは、怒りの感情は単体で爆発するのではなく、ストレスや不安、寝不足などといったマイナスの感情や状態が原因となって爆発すると連載の前編で説明した。
川田さん自身、正義感の強さやせっかちな性格が災いし、怒りで失敗した過去があると明かす。部下に強く言い過ぎ、プロジェクトリーダーの担当を外された経験から「これではいけない」と書店で手にしたのが、アンガーマネジメントに関する書籍だったという。
1970年代に米国で生まれたアンガーマネジメントは、怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニングだ。もともと、軽犯罪者向けの矯正プログラムとして開発され、2001年の米同時多発テロ事件以降、社会不安の高まりを受け、一般にも普及した。日本で知られるようになったのは、日本アンガーマネジメント協会が発足した2012年以降で、比較的新しいと言える。
連載の後編では、怒りの感情に悩むビジネスパーソンが実践できるアンガーマネジメントの基本的な考え方を、川田さんの経験も交えて紹介する。
――アンガーマネジメントとの出会いは怒りによる失敗がきっかけでした
川田: 書店で手にした本に書かれていたのは、アンガーマネジメントは怒っていいんだよ、ということでした。怒る必要があれば怒ればいいし、怒る必要がないことであれば怒らない方が後悔しない。
例えば、いまペンを持って文字が書ける。箸を使ってご飯が食べられる。これは子どものころから意識して実践してきたからできることです。
アンガーマネジメントも、普段から意識して実践すれば、自然と身に付くよ、ということが書いてありました。これなら自分もできるかもしれないと思い、だまされたと思ってやってみました。
――変化はありましたか
川田: 1カ月ほどで効果が出始めました。自分が変わったかなと感じる前に、周囲から「話しやすくなったね」「顔つきが変わったね」と言われるようになりました。どこまで効果が出るか不安でしたが、日々、地道に実践を積み重ねていくことで、手応えを感じることができました。
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