――チャトリCEOは、格闘家の朝倉未来さんがプロデュースしている「1分1ラウンド」で最強を決める総合格闘技エンターテインメント「BreakingDown」を知っていますか? 日本では非常にヒットしていて、有料課金型のオンライン視聴システムである「PPV(ペイパービュー)」の売り上げもうなぎ上りです。関連動画の再生回数は1億回を上回っています。
知りません。
――なるほど。ONEにはPPVを伸ばせる余地はありますか?
PPVはABEMAさんのアイデアです。今回のONE 163はあくまでテストのような位置付けですが、来年はもっと大きな大会をPPVで放送したいと思っています。
――今後Amazonプライムビデオで放送することはありますか?
将来的にはやろうと思っています。ただAmazonからは「米国で大会を開催してほしい」と言われました。だから、来年の第2四半期ころには米国で試合を開催する予定です。それでPPVをやりたいと思っています。そうすると一気に広がっていくと思います。
――世界で有名な総合格闘技団体はUFCだといわれています。ONEはどんな差別化を図っていきますか?
UFCには29年の歴史がありますが、あくまでもMMAの分野で世界一大きな団体なのです。ONEは一競技ではなく、いろいろな武道を混合させた団体です。ONEは10年しか歴史はありませんが、MMA、キックボクシング、ムエタイなど横断的にやっています。また先ほど申し上げた通り、ONEはニールセンの調査で有数なスポーツプロパティーであることが証明されています。
――ここまでONEがヒットした理由をどう分析していますか?
ONEが大切にしている3つの要素が「values(価値)」「heroes(英雄)」「stories(物語)」です。選手の価値、英雄を作ること、そしてストーリーを伝えていくことがONEの成長の柱です。ONEの選手はキック、ムエタイ、MMA、グラップリングの各競技の中で、世界のベストオブザベストなのです。このことによってファンがついてくるのです。
単なるイベントではなく最終的には「一つのスポーツになること」を目指しています。
――日本では、フロイド・メイウェザーと朝倉未来のエキシビションマッチが開催されるなどRIZINが注目されています。どのように見ていますか?
RIZINはエンターテインメント色が強い一方、世界で最強の選手が闘っている大会ではありません。メイウェザーはすでに引退した選手です。RIZINはビジネスとしてはOKだと思いますが、ONEのビジネスモデルとは全く違います。
ONEは、「ONEの選手が世界最高」だというブランドを大事にしています。だからONE(1番上)なのです。
――ONEに限らず、日本人で注目している選手はいますか?
ONEバンタム級キックボクシング世界王者となった秋元皓貴選手や、ONE世界フライ級ランキング3位の若松佑弥選手ですね。若松選手は世界王者になるポテンシャルを持っています。ただ先ほども申し上げた通り、日本選手の全体的なレベルは世界でベストとは言えません。
――どうやったらベストになれるのでしょうか?
非常に難しい質問ですね。日本では格闘技のジムも少ない状況です。米国や中国、シンガポールには巨大なジムがたくさんあります。中国は政府がスポーツ選手の育成を後押ししています。
ONEが日本でもっとイベントを開いたり、ABEMAでもっとPPVを放送したりするようになれば、だんだんその素地ができてくるでしょう。私自身もそこに向けて力を入れていきたいと思います。来年は日本でも大会を開催したいと思いますし、近日中に発表する予定です。
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